第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演21群 看護技術の向上

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場7 (105)

座長:飛世 真理子

[口演M-21-1] 皮膚保護剤による深部静脈血栓症予防用弾性ストッキング着圧の検証

鎌田 弘平 (国際医療福祉大学三田病院)

Keywords:弾性ストッキング、皮膚保護剤、皮膚障害、着圧

【抄録】
【目的】弾性ストッキングの着用は、深部静脈血栓症予防として効果的ではあるが、皮膚障害が合併症として生じる事がある。骨突出部に様々な皮膚保護剤を貼付し、その際に皮膚保護剤の使用が弾性ストッキングの着圧に影響を及ぼすかを明らかにする事である。【方法】研究デザイン:実験研究。使用機材:測定誤差を少なくするため足マネキンを用い、弾性ストッキングはテルモ社製コンプリネットプロを使用。着圧測定器具:簡易体圧測定器セロを使用。皮膚保護剤:デュオアクティブCGF(以下A 剤)、デュオアクティブET(以下B 剤)、ハイドロサイトプラス(以下C 剤)、フォームクーヘン2号(以下D 剤)の4種類を使用。測定部位:下腿腓腹部、足関節部の2部位。測定者:A病棟勤務の看護師15名。測定方法:測定手技を統一する為、手順書を用い説明した。1.足マネキンに弾性ストッキングを着用。2.保護剤貼付前着圧測定:下腿腓腹部と足関節部。3.皮膚保護剤貼付:4種類は1剤ごと4か所(足背部、前脛骨部、母趾関節、小趾関節)に貼付。4.保護剤貼付後着圧測定:下腿腓腹部と足関節部。測定回数:一人1回。分析方法:IBM SPSS Statistics27。ウィルコクソンの符号付順位検定を実施した(p < 0.05)。倫理的配慮:A病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号5 - 21 - 21)。実施にあたり個人情報の取扱い、生じる負担やリスク、研究参加は自由意思である事、不参加でも不利益は生じない事について文書を用い、口頭で説明した。【結果】下腿腓腹部の着圧:全て有意な差はなかった。足関節部の着圧:A、B、C の3剤は着圧が有意に減少した(p < 0.05)。【考察】腓腹部では、全ての保護剤で着圧に有意な差はなく、皮膚保護剤の貼付による着圧低下はない事から影響は少ないと考える。足関節部では、A 剤、B 剤、C 剤使用により着圧が有意に低下していた事は、測定部位と保護剤貼付部位が隣接していた事が着圧に影響を及ぼした可能性は否定はできない。D 剤では有意な差がなかった事は、他の3剤に比べ、厚さが薄かった為着圧への影響が少なかったと推察する。弾性ストッキング着用時に皮膚障害予防として皮膚保護剤を使用する事で、着圧に影響する事がある。皮膚保護剤使用の際は、深部静脈血栓症予防に対して効果的な着圧が得られなくなる可能性があるため注意が必要である。