第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演21群 看護技術の向上

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場7 (105)

座長:飛世 真理子

[口演M-21-5] ポジショニングについての勉強会を実施して病棟スタッフへの学習効果の検討

深津 清志, 山田 泰生 (静岡県焼津市立総合病院)

キーワード:ポジショニング、学習効果、動機づけ

【抄録】
【目的】腓骨神経麻痺や褥瘡はADL に悪影響を及ぼす。予防の為に必要なポジショニングについて勉強会を実施し、ポジショニングに対する意識や知識が向上したか明らかにする。【方法】研究デザイン:量的研究 研究対象:A 病棟スタッフ。ポジショニングに関するアンケートを勉強会とテスト前後で実施。勉強会は医師に監修し骨折の合併症・腓骨神経麻痺の概要・褥瘡発生要因・ポジショニングのポイントについて解説。コロナ禍のため動画配信で実施した。アンケート結果は1 回目と2 回目の内容をそれぞれ集計し比較した。テスト結果は1 回目と2 回目の全体の正答率や平均点、各問題の正答率を算出し比較した。【結果】アンケート1 回目、毎回・毎回ではないが適切なポジショニングが出来ている19 名。出来ていない時もある5 名。理由として「痛みの訴え」「認知力の低下により適切なポジショニングがとれない」が挙げられた。ポジショニングについて悩むことがあるスタッフは24 名中18 名。1 回目テスト後、動画配信にて勉強会実施。動画閲覧後2 回目のテストを実施。テスト1回目の平均点は28 点満点中21.29 点。平均正答率76.01%。2 回目の平均点は28 点満点中27.3 点。平均正答率97.0%。テスト結果は1 回目と2 回目で優位に上昇した。アンケート2 回目、毎回・毎回ではないが適切なポジショニングが出来ている18 名。出来ていない時もある3 名。理由は1回目のアンケートと同様の内容であった。ポジショニングについて悩むことがあるスタッフは21 名中14 名。2020 年8 月~ 12 月のA 病棟褥瘡患者数357 名中16 名(4.4%)。2021 年8 月~ 12 月のA 病棟褥瘡患者数304 名中6 名(1.9%)で褥瘡発生数は減少した。また神経障害の発生件数は0件であった。【考察】記憶は記銘・保持・想起を行わないと忘れてしまう。勉強会を実施することで記憶の記銘・保持・想起を行い、知識を高めることが出来た。結果褥瘡発生数の減少や神経障害の発生がなかったことは、ポジショニングについて病棟スタッフ全体の知識向上によるものであり、ケアの質を維持するため勉強会を行うことは効果的であったと示唆された。今後、ポジショニングに関する悩みを減らすには継続して学習が必要であり、スタッフへ必要な情報提供を行うことで、個人の学習の動機づけに繋がり看護の質の向上につながると考える。