第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演22群 重症化予防

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場1 (302)

座長:大柴 幸子

[口演M-22-5] 記憶障害により予約日に来院する理由を忘れ希望している主治医の診察を受けられなかった高齢患者を定期受診へつなげた一事例

中村 美鈴, 平野 美佳 (NTT 東日本伊豆病院)

Keywords:患者のもつ力、高齢者、外来看護

【抄録】
【目的】A 氏は記憶障害により主治医の診察を望みながら、定期受診しなければ主治医の診察を受けられないことを忘れてしまい定期受診できていなかった。A 氏の定期受診につなげられた看護師の関りを明らかにする。【方法】研究デザイン:実践報告方法:ペプロウ看護論を用いてA 氏と看護師の関わりを検討する事例紹介:A 氏80 歳代女性、独居であり一人息子は遠方に在住。75 歳頃心筋梗塞発症後B 病院の定期受診していた。2 年程前から時折受診予約日に来られなくなっていた。【結果】方向付けの段階として、定期受診ができていないことをA 氏がどう思っているかを知るため話の場を設けた。A 氏は主治医に診てもらいたいと訴えた。看護師は解決方法を一緒に考えたいとA 氏に伝えた。A 氏に予約日に来れない理由を確認すると予定日は忘れていない、薬がなくなったら来ればよいと言われたと返答し焦った様子でバックから予診票を出した。前回渡した予診票に内服が残っている…来なくて良いと本人のメモがあった。前回の説明は忘れていた。これに看護師が共感と同意を示したことで患者の信頼を得ることができ同一化の段階になった。開拓の段階としてA 氏は軽度の記憶障害(特にエピソード記憶の障害)はあるが、必要なものをしまってある場所がわかること、受診の手がかりとして予診票を利用していること、書かれていることを理解できることを対話の中でA氏のもつ力として見つけることができた。約束事を予診票に書いてはどうかと提案するとA氏の同意を得ることができ実行した。次の予約日に受診でき、A 氏に来院のきっかけを問うと予診票に今日来るように書いてあったから来たと穏やかな表情で返答があった。このことから問題解決の段階になったと考えた。【考察】患者に問題が起こると看護師が問題解決をしようとしてしまうが、患者が主体的に解決できるように支援できれば、患者自身のもつ力で解決することができることがある。介入時にA 氏の思いや望みを聞き出したことで、A 氏の信頼を得ることができ問題解決の方法を共に検討することができた。またこの信頼感があったことから、看護師が見つけたA 氏のもつ力を活かした解決方法の提案を受け入れてもらえたと考える。認知機能が低下している患者の外来看護において、ペプロウ看護論を活用して関わることは、患者のもつ力を活かし患者の自立につながり、その後の効果的な療養行動につながる。