第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演23群 精神看護③

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場1 (302)

座長:田上 美千佳

[口演M-23-2] 新型コロナウイルス感染症に対する意識と行動の調査

-精神科デイケアを利用する患者の感染対策について-

宮本 浩子, 弥重 精一 (公立能登総合病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症、精神科デイケア、コロナ禍、感染対策

【抄録】
【目的】精神科の患者はセルフケアや感染に対する意識が低い印象がある。精神科デイケア(以下デイケア)における新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)に対して、利用している患者の病識と生活様式を理解する事で今後のデイケアへの支援につなげる。【方法】公立A 総合病院精神科デイケアを利用する患者10 名に対し独自に作成したインタビューガイドをもとに意識・行動を確認する。インタビュー内容は(1)COVID-19 に対しての知識、(2)COVID-19 が広まる前と現在での行動や意識の変化、(3)困り事の有無、(4)感染しないための対策、(5)家族との過ごし方、(6)ワクチン接種について、(7)ワクチン接種状況とした。所属施設の倫理委員会の規定に沿って審査を受け、承認を得て研究を開始した。【結果】対象者は男性5 名、女性5 名。COVID-19の知識はデイケアのグループワークやテレビ等の報道から得られており、うつると怖いという思いや発熱や死に至る事もある、との知識を持っており意識が低いという事はなかった。毎日続く感染対策に疲弊しストレスや不安を感じている患者は多かったが、デイケア前の検温やマスク着用、手指衛生等の感染対策、外出を控える、ワクチン接種を受ける等感染しないための行動は取っていた。デイケアに通う事は感染のリスクが増え不安が増強するのではないかと思われたが、患者はデイケアに参加する事で相談や助け合いができると理解し安心感を得ていた。実際にデイケアのスタッフにワクチン接種について相談する行動もあった。しかし一方では、自分には関係ない、これまでと変わりなくいつもどおり過ごしている、周囲に合わせて行動しているだけという患者も存在した。【考察】患者が混乱するのではないかと危惧していたが、COVID-19 に対する知識や症状の理解はあり、意識が低いという実感はなかった。周囲の関わりや協力を得る事で意識的に感染対策行動を取り、デイケアに参加する事で相談や助け合いができていた。一方では、COVID-19 への関心が薄く感染対策の必要性を理解していない患者もいた。精神疾患患者には他者との親密な関わりに消極的で集団になじみにくい特徴があるが、COVID-19 についても話し合う事が少ないため危機意識を持てず無関心になるのではないかと考える。