第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演23群 精神看護③

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM 口演会場1 (302)

座長:田上 美千佳

[口演M-23-5] ストレングス・トークを活用した精神科の看護実践

佐藤 孝紀, 矢吹 京香, 小澤 美穂, 高野 真理, 吉原 章子 (東京慈恵会医科大学附属病院)

Keywords:ストレングス・トーク、精神科看護、強み

【抄録】
【目的】精神科看護では、疾患や障害を抱えることでの生きづらさに着目し、問題を解決する能力と、生きづらさの中においても生活してきた対象者の経験や対処を活かした支援を検討する能力が求められている。「ストレングス・トーク」とは、人の強みに気づくための手順・枠組みをふまえ、ポジティブな視点から支援プランを検討し、支援者自身のエンパワーメントにも応用可能な親子支援に使われている技法である。精神科の看護実践に「ストレングス・トーク」の視点を活用した関わりを分析することで、「ストレングス・トーク」活用の看護実践の効果を明らかにする。【方法】事例分析。本研究はA 病院の倫理審査委員会に承認を得られた同意説明書(倫理委員会受付番号33-120、10735)を用いて、患者などの個人情報が特定できないようデータの提出を依頼、研究対象や(看護師)を募り、研究対象者(看護師)の自由意思による同意を文章で取得した。同意を得た研究対象者(看護師)に、「対象者の言動・状況」「看護師はどう感じどう思ったか」「看護師は行動したか」の3つの視点で関わりを記載する『プロセスレコード』に、「ストレングス・トーク」の視点を活用した看護師の関わりを記載していただき、意味を分析する。【結果】5 事例の提出があった。「声を荒げる」「詰め寄る」等の反応に対して、その行動の裏にある「話をきいてほしい」等の`` 願い事`` が全例で抽出され、`` 願い事`` に対する対処行動へ変容を導く関わりを実践していた。関わりの結果、5 例中4 例で『笑顔』『対処行動の確立』等の反応を得、看護師は『共に対処行動を行う』『支持する』などの積極的な介入から『対処行動につなげられた』の評価が3 例あった。【考察】「ストレングス・トーク」を活用した看護実践は、対象の『願い事を知りたい』という認識から、対象の反応を「不器用な対処」と捉えて関わりを持つことで、対象と共に新たな対処行動をみつけ、行動変容につなげていた。行動変容には`` 願い事`` という、「ありたい姿」を対象と看護師で共有することが影響していると考える。今後は本研究で得られたことを基に症例数を増やし、「ストレングス・トーク」を活用した看護実践の効果を明らかにしていく必要がある。