第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演24群 看護管理~組織管理~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場1 (302)

座長:村松 裕子

[口演M-24-1] 小規模病院における組織内改革とその可視化

-質の向上に焦点をあてて-

井上 幸子1, 中島 美津子2, 伊藤 愉嵩1, 小林 誠1, 吉田 夏樹1, 浅井 弓子1 (1.高野病院, 2.東京医療保健大学東が丘看護学部・大学院看護学研究科)

Keywords:小規模病院、質の向上、組織改革

【抄録】
【目的】A 病院は福島原発に近い地域密着型小規模一般病院として震災を乗越えてきたが、漫然としたケアとなっていた。そこでケアの質向上を図るため、組織の求める看護師像を明文化し、A 病院用看護ラダーの作成、標準看護計画の作成、患者受け持ち制の導入など、先行研究を参照に組織改革を試みてきた。そこでこれらの活動による組織変化からケアの質向上を可視化することで今後の組織改革に資する資料を得たので報告する。【方法】褒めるbox(互いに良い点を記載し記名の紙を入れるbox、以後box と記す。)の内容、学習会開催回数、薬剤関連・褥瘡・転倒転落件数、離職者数、時間外勤務状況などの変化を可視化することで組織内の変化を可視化する。調査期間:令和元年度~令和2 年度、倫理的配慮:研究者所属施設倫理委員会承認(承認番号:030003)。本研究データは個人特定できないよう配慮し、得た情報は研究以外で使用しない。【結果】Box 内容は毎月外来に掲示、初月は53 件、平均月20 件前後、内容は患者への対応や仕事ぶりを褒める内容であり、褒められた対象は清掃者、事務職、リハ、看護師等多岐にわたった。学習会開催はR元年18 回、R2年19 回。薬剤関連・褥瘡・転倒転落については、薬剤関連はインシデントレポートがR元年55 件、R2年40 件、転倒転落はR元年54 件、R2年51 件、褥瘡発生率はR元年22.6%、R2年17.11%。離職者数はR元年7 名、R2年4 名、時間外業務はほぼ0 時間。【考察】組織改革活動による具体的な変化の可視化を試みたがCOVID-19 の時期と重なったこともあり、大きな変化は認められなかった。しかし看護ラダーの作成や標準看護計画の作成に伴う学習会開催の増加は、これまでの年に数回から大幅に増加し、ケアの質向上に寄与したことを可視化した結果と考える。またBox 設置の効果としては、設置主体は看護部であったが、他部門も興味をもって投函している結果が得られ、職種を超えた互いの理解への一助となりケアの質向上への多職種連携への一助になったのではないかと考える。漫然として膠着状態の組織から脱却することはある種の抵抗もあるが、本研究結果を現場に還元し、少しずつ組織内に変化が起きていることを共有できる情報を可視化することができたと考える。今後も組織改革を継続していきたい。