第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演24群 看護管理~組織管理~

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場1 (302)

座長:村松 裕子

[口演M-24-3] 新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病棟における看護の実際

-陽性患者と一般入院患者の看護の両立について-

髙木 聡, 島田 昂, 坂元 志穂, 上野 ひろむ, 今田 ゆかり (日本医科大学武蔵小杉病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症、感染予防対策、院内感染

【抄録】
【目的】A 病院ではB 県の要請を受けて2021 年9 月から新型コロナウィルス感染症(新型コロナ)に係る高度医療機関として陽性患者の受け入れを開始した。感染第6 波では患者が急激に増加し、同じ病棟内に陽性者と一般患者が混在する状況が発生したが、院内感染を起すことなく現在に至っている。今回成された看護を振り返り分析することは意義があると考え報告する。【方法】1.デザイン:事例研究、2.方法:第6 波の混乱の最中に感染用病棟において成された看護について後方視的に振り返り文献的考察を行った。【結果】内科病棟48 床のうち、個室8 床および4 人部屋5 床を感染専用病床として運用し、2021 年1 月~ 2 月の間に中等症以上の患者が約90 名入院した。感染第6 波は感染拡大のスピードが速く感染者数および入院要請が桁違いに急増した。そのため感染専用病棟の準備が追い付かず、陽性者と一般患者が混在する状況が生じた。この間、一般患者を他の病棟へ移す必要があったが、A 病院の病床稼働率は90%以上で推移しており、一度に移動することは困難であった。スタッフ増員も困難な状況な中、個人の感染予防策、またスタッフ個々の日常生活における感染予防を徹底しつつ、その時の陽性者数と重症度に応じて、ゾーニングおよび人員配置を勤務毎に変更し、日数をかけて一般患者の移動を完了した。その後も多くの陽性患者を受け入れているが院内感染を起すことなく経過している。【考察】感染第6波においては新型コロナ即応病床にコロナ以外の患者を入院させるよう求められる状況も生じている。このようなこれまでと異なる特殊な状況においても、重要なのは第1 波時点と変わらない基本的な感染対策の徹底である。実際A 病院では、スタッフ個々の感染対策を基本とし、ゾーニングとスタッフ配置を柔軟に変更することで、特別な設備や人員の追加などせずに対応することができた。今後も新型コロナによる同様の混乱が続くと予測される。医療機関においては、限られた資源と人員の中、各個人の基本的な感染対策を徹底した上で、施設の状況に応じた臨機応変な対策を実施し、陽性者と一般患者の看護の両立を図っていく必要があると考える。