第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演24群 看護管理~組織管理~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場1 (302)

座長:村松 裕子

[口演M-24-4] 一般病棟からCOVID-19 病棟に機能転換した取り組み

-重症患者の受け入れ準備から定着まで-

中島 道子 (水戸済生会総合病院)

Keywords:COVID-19、病棟管理、安全管理

【抄録】
【目的】重症を含めた新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)患者の受入れをA 病院は一般病棟をCOVID-19専用病棟で行った。それにより、既存の救命救急センターは従来の救急診療を維持することが可能であった。今回、重症COVID-19 患者を一般病棟での治療を行った経験を振り返ることで、効果的であった点や課題点を明らかにする。【方法】全室個室である病棟25 床をCOVID-19 専用病棟とし、その際に重症患者用の2 室は段階的に陰圧室に改修した。病室すべてにカメラを設置し、感染区域からの連絡方法としてLine worksを使用した。陰圧室では人工呼吸器および体外式膜型人工肺(以下ECMO)を必要とする患者を優先的に収容し、その他の病床でも重症患者の対応を行った。病棟稼働において人工呼吸器やECMO の搬入・挿入介助や管理方法のシミュレーションを継続的に行った。倫理的配慮:本報告において個人が特定されないように配慮し、所属施設の看護部の承認を得た。【結果】2020 年4 月~ 2022 年3 月まで計201 名のCOVID-19 患者を受け入れた。内、COVID-19 重症患者38 名(19%)、中等症111 名(55%)で、人工呼吸器患者38 名(19%)、ECMO 患者7 名(3%)であった。また、死亡は24 名(11%)であった。インシデント・アクシデントは計54 件で、「患者への影響度分類」に基づいたLevel 分類で0 が10 件、1 が10 件、2 が29 件、3 が5 件、4-5 が0 件であった。【考察】重症COVID-19 患者38 名、内ECMO 患者7 名の治療を行い、人工呼吸器やECMO 搬入、挿入および管理は病棟内ですべて完結し終えた。これは術前に医師、看護師を含めたコメディカルがシミュレーションを行い、必要器具や動線を確認したことが効果的であったと考えられた。しかし、level 3 以上であるアクシデントは5 件認められ、この大部分は隔離環境の中での連携不足が原因と思われた事例であった。今回の経験を踏まえた上で一部設備の修正は必要となるが、十分なシミュレーションを行うことで一般病棟でも重症患者の対応はできることが期待された。一方で、一般診療と比較して感染隔離下の看護体制には制約が出ることが多く、今回の経験や他施設の事例を参考にして、様々なことを想定しシミュレーションすることが重要と考えられる。