第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演24群 看護管理~組織管理~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場1 (302)

座長:村松 裕子

[口演M-24-5] スタッフで作り上げた軽症COVID-19 病棟業務の評価

高田 昌子, 高橋 典子 (秋田県立循環器・脳脊髄センター)

Keywords:軽症COVID-19 病棟、ディブリーフィング、OODA-LOOP

【抄録】
【目的】軽症COVID-19 病棟を3 日で立ち上げ、毎日のディブリーフィングを基に業務整備を行った過程を評価する。【方法】①看護管理者が提示した業務マニュアル案を、毎日のディブリーフィングで追加修正して作成した過程を振り返る。②業務マニュアルの評価は、患者の重篤化の有無、インシデント発生数、スタッフのCOVID-19 感染の有無で評価する。③スタッフの意識調査を行い、単純集計後に年代・リーダーとスタッフ・男女でKruskal-Wallis 検定にて検証する。調査は倫理委員会の承認を得て、無記名・自由意志とし、個人情報保護について説明した。【結果】①受け入れ決定から入院開始まで時間が無く、看護管理者が示した業務マニュアル案を現場に落とし込むには、調整が必要であった。特に褥瘡・転倒・せん妄のリスクアセスメントの信頼性の確保、オリエンテーション方法、清掃や給食など患者看護とその周辺業務の具体化を急がなければならなかった。ディブリーフィングで得た情報を、医療安全・感染対策・院内ルールを基盤に検討してマニュアルの素案を作成し、細かな決定事項はノートで伝達した。そのマニュアルの素案に沿って実践後ディブリーフィングで検討し、病棟管理者によって最終決定された。概ね1週間で体制が整った。②業務マニュアルに沿って実践し、患者の重篤化、インシデントの発生、スタッフの感染は無かった。③スタッフの意識調査では、100%のスタッフが病棟目標を理解して活動し、68%が意見を述べる機会があったと評価した。88%が体制整備に参加し、リーダーとスタッフではリーダーの体制整備への参加意識が高かった(P = 0.033)。また63%がコロナ病棟勤務に不安を感じているが、異動希望者は0%であった。【考察】今回の体制整備では、現場での問題点の抽出と迅速な意思決定と省察が必要であった。近年注目されているOODA-LOOP による観察・情勢判断・意思決定・行動のサイクルを用いて振り返ると、「観察」は出来事を的確に捉える、「情勢判断」は問題点を抽出する、「意思決定」は現状での最善策をスタッフ主体で考え文書化する、「行動」は意思決定されたことに沿って実践し、ディブリーフィングでの検討をくり返すに相応すると考えられ、このサイクルが働いていたと考える。また、スタッフ全員で業務整備に取り組んだことが、自主性のある行動を促した。