第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演26群 健やかに生まれ・育つことへの支援②

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場2 (303)

座長:松井 弘美

[口演M-26-1] 医療評価入院における患者と家族のニーズを捉えるうえで看護師が抱く困難感の把握

當摩 宥佳, 樋口 伊佐子, 三輪 久美子 (大阪母子医療センター)

キーワード:重症児・者、医療評価入院、医療的ケア、情報共有

【抄録】
【目的】近年、小児医療の進歩により高度な医療的ケアを必要とする児(以下重症児・者)が増え医療評価入院へのニーズが高まっている。一方で、看護師は重症児・者のケア方法に戸惑ったり、通常業務の中で十分にケアができないことにジレンマを感じたりしている。そこで、本研究は医療評価入院として重症児・者を受け入れているA 病院外科系病棟の看護師が重症児・者と家族のニーズを捉えるために必要と考える情報と、情報を得て共有するなかで抱く困難感を明らかにし、重症児・者と家族のニーズを捉えたより良い支援に繋げることを目的とした。【方法】外科系病棟看護師58 名を対象に医療評価入院時に必要とする情報、情報を得て看護師間で共有する際の困難感について自記式質問紙調査を実施した。得られたデータを集計し、困難感についてはコード化、カテゴリー分類し質的に分析した。本研究は、所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】対象者のうち35 名より回答が得られた(回収率60.3%)。看護師は医療評価入院時には、重症児・者の医療的ケアや医療デバイス、体位に関すること、家族からの相談・伝達事項、重症児・者の普段の様子や特徴、体調不良時の対応、家族に関する情報、と様々な情報を必要としている。その一方、情報を得て看護師間で共有することについて、〔カルテ内の情報整理不足に伴う困難感〕〔患者のことを把握するために必要とする情報の多さ〕〔家族の思いに寄り添うなかでのジレンマ〕〔情報共有する方法の曖昧さ〕〔他職種連携の必要性〕、の5 項目のカテゴリーが抽出され、サブカテゴリーは18 項目抽出された。【考察】看護師は医療評価入院において、医療的ケアだけでなく、自宅での普段の様子や好きな体位など多くの情報を家族から得ることで、重症児・者と家族のニーズを捉えようとしている。これは、重症児・者を安心して任せたい、重症児・者の反応や状態に合わせた独自のケアを入院中も看護師に継続してほしいと望む家族の思いに寄り添った支援となると考える。一方で看護師は、カルテ内に患者の情報が散在していること、個別性に応じたケアをするなかで必要とする情報の多さ、さらには普段通りのケアを望む家族に寄り添うことへの困難感を抱えている。そのため、重症児・者と家族のニーズを捉えるために必要とする情報を容易に得るための方法や共有するためのツールの検討が必要であると考える。