第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演26群 健やかに生まれ・育つことへの支援②

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場2 (303)

座長:松井 弘美

[口演M-26-5] コロナ禍の小児病棟における付き添い家族の心理・社会的状況とその援助について

中村 彩香, 鈴木 真弓 (焼津市立総合病院)

キーワード:小児病棟、付き添い家族、コロナ禍

【抄録】
【目的】A 病院B 病棟は、未就学児には入院中家族が付き添う必要がある。そのような状況下であっても家族機能を保持し、付き添う場合の負担を可能な限り軽減できる看護援助が求められている。そこで家族にインタビューを行い、コロナ禍において緊急入院となった患児の家族の状況を明らかにする。【方法】研究の説明及び方法について同意書にて同意を得た事例家族3 名から個室にて個々にインタビューガイドを用いて聞き取りを実施した。逐語録を作成し、事例ごとに家族背景、入院準備、付き添い交代、付き添い者の睡眠・食事・整容、うれしかった事、困った事や要望などを表にまとめ、3 事例の共通点と相違点を抜粋し、比較・分析した。【結果】3 例とも入院に関して想定していない状況下で他の付き添い者に交代し、入院準備・家族と仕事の調整を早急に実施していた。3 名とも母がそれを実行し、その後付き添った。患児の調子が悪いため数日はほとんど目を離せず、自分の食事・排泄・整容も制限され、夜間も休息が取れない状況だった。そのような状況下で、入院中も母は家族や職場に連絡を取り調整を行っていた。さらにCOVID-19 流行により付き添い者の限定・人数制限・面会制限・DVD やおもちゃ、プレイルームの制限があり、ストレスフルな状況が数日中におこっていた。付き添いの交代にあたっては病棟外で行うため患児が病室に1 人になる時間があり、不安があった。また、患児の情報や医師からの病状説明、物品の場所、他の家族の細かな情報を短時間で伝達することが困難であった。【考察】家族機能を維持するための調整や準備は母が主となって行っており、母の負担は大きかった。慣れない付き添い生活は数日中に不便さや疲労が浮き彫りになってくることがわかった。スタッフ間で業務調整をし、工夫を病棟全体で検討し付き添う母の疲労を軽減しなければならない。コロナ禍では病院の制限の多さから、付き添う母の個別のニーズが増大していることがわかり、それに対応した援助ができる体制作りを早期に実施したい。まずは付き添い家族が休める時間を確保するために患児の預かりの時間設定をすることで休息が取れると考える。また、コロナ禍で病室に患児を1 人にして交代する場合の手段や家族間の連絡の方法として患児の状況を提供できるツールの使用の制限解除などが今後検討される。