第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演27群 意思決定支援

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場2 (303)

座長:橋口 周子

[口演M-27-1] 維持透析患者の意思決定に関する患者対象の意識調査

-患者の思いや考えを踏まえた支援を模索する-

吉岡 知美, 堤 由利子, 新小倉 美緒, 宿谷 藤子, 坂原 麻美子 (公立阿伎留医療センター)

Keywords:維持透析患者、終末期医療、人生会議、事前指示書、アドバンス・ケア・プラニング

【抄録】
【目的】近年、透析患者の理解力や認知機能が正常な時又は軽度低下した早期に、本人と家族等が将来の医療とケアについて話し合うことや、口頭や文書で意思表示する必要性の認識が高まっている。その中で、A 院に継続通院する維持血液透析患者(以下患者)は、透析継続・中止を含む終末期医療に対する意思確認の機会がないまま、全身状態が低下後の透析継続例が少なくない。そこで、A 院患者の終末期医療への考え、事前指示書とアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)の認識等を把握する目的で本調査を実施した。【方法】令和3 年10 月、通院時に意思表示が可能な患者に調査概要説明書を配布し、同意が得られた25 名を対象に、終末期医療・事前指示書・ACP の認識を含む18 問構成の無記名アンケートを実施した。全体傾向把握のために質問毎の単純集計をした。本研究はA 院倫理審査委員会の承認を得ている。【結果】24 部回収できた(回収率96.0%)。平均年齢71.5 ± SD11.9 歳、透析年数は5 年未満16 名(66.7%)、5 年以上8 名(33.3%)であった。自身が意思決定できなくなった際の医療について他者と話し合った経験があるのは15 名(62.5%)であった。終末期医療の判断を委ねたい他者(複数回答可)は、子供15 名(62.5%)、配偶者12 名(50.0%)、医師11 名(45.8%)が多かった。終末期の透析継続判断は透析主治医に任せたいが最多で13 名(54.2%)、継続希望7 名(29.2%)、家族の判断に任せたい6 名(25.0%)、わからない2 名(8.3%)、希望しない1名(4.2%)であった。事前指示書という言葉を聞いたことがあるのは6 名(25.0%)、事前指示書に関心あり17名(70.8%)であった。ACP という言葉を聞いたことがあるのは4 名(16.7%)、ACP について詳しく聞きたい7 名(29.2%)であった。【考察】62.5% が自ら意思決定ができなくなった際の医療について他者と話し合った経験がある一方、終末期医療の判断は62.5% が子供に任せたく、終末期の透析治療の判断は54.2% が透析主治医に任せたいというように、自身で考えたいという要望が全体にあるわけではないが70.8% が事前指示書に関心を持っていることが分かった。今後、事前指示書に関する情報提供を推し進め、ACP のコーディネートを模索したいと考えた。