第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

口演

口演28群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場2 (303)

座長:今野 朱美

[口演M-28-3] 手術室における熟練看護師の長期継続勤務につながるやりがい

高柳 尚子, 鈴木 かおり (静岡県立総合病院)

Keywords:手術室、熟練看護師、長期継続勤務、やりがい

【抄録】
【目的】手術室に勤務する熟練看護師の長期継続勤務につながるやりがいを明らかにすること【方法】研究実施施設において手術室に5 年以上継続勤務している常勤看護師を対象に、研究者が独自に作成したインタビューガイドを用いて半構成的面接を行った。インタビュー内容は手術室に長期勤務する中で感じる達成感や喜び、長期勤務に影響していることや大切なことなどである。面接で得られたデータから逐語録を作成し、質的帰納的分析を行った。倫理的配慮として、研究実施施設の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】研究参加者は30 ~ 50 歳代(平均42.4 ± 10.6 歳)、手術室経験年数は7 ~ 15 年(平均9.9 ± 5.1 年)の8 名(男性2 名、女性6 名)であった。手術室における熟練看護師の長期継続勤務につながるやりがいについて、96 のコードから24 のサブカテゴリーが抽出され、最終的には5 つのカテゴリーに分類された。そのカテゴリーは≪自己の成長につながる≫≪良好な人間関係による仲間の支え≫≪手術室特有の看護の価値≫≪自己実現するための努力≫≪自己の存在価値を感じること≫であった。【考察】手術室業務は専門性が高く、業務習得に多くの学習や経験を必要とする。そのため、努力や積み重ねの成果が達成感となり、更なる向上心が自己の成長につながるというやりがいになっていた。また、長時間に及ぶ緊張度の高い手術では瞬時の判断が求められ、心身共に負担が大きい。そのため、良好な人間関係による仲間が支えとなり、やりがいになっていた。更に、自分を認めることや他者から認められることに加え、自分の指導した後輩が手術室看護師として一人前に成長していく姿に達成感を感じ、そこに自己の存在価値を見出すのは、熟練看護師ならではのやりがいであると思われた。さらに、やりがいを促進する因子としては、手術室特有の看護の価値のみならず、後輩育成や仲間の支えなど相手との相互作用を受けると考えられた。長期継続勤務につながるやりがいは、本人自身の意識や努力だけではなく、お互いが支え合い、切磋琢磨していく手術室内特有の風土と深く関係している可能性が示唆された。