第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演28群 看護管理~看護管理者の役割、リーダーシップ~

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場2 (303)

座長:今野 朱美

[口演M-28-5] 病棟スタッフ全体の意識・行動を望ましい方向へと変容させる為のリーダーシップの要素

-テクニカルアラーム低減活動を通して-

熊田 瑶子1, 栗原 瑞恵1, 和住 淑子2 (1.千葉県救急医療センター, 2.千葉大学大学院看護学研究院)

Keywords:リーダーシップ、テクニカルアラーム、行動変容

【抄録】
【目的】A 病院循環器病棟では、心電図モニターのテクニカルアラームが多く問題となっていた。さまざまな方法でスタッフへの注意喚起を試みたが、かえって増加したため、中堅看護師が中心となり、テクニカルアラーム低減ワーキンググループ(以下WG とする)を立ち上げ、活動したところ、約1 年でテクニカルアラームを大幅に低減できた。本研究の目的は、このWG 活動を振り返り、病棟スタッフ全体の意識・行動を望ましい方向へと変容させる為の、中堅看護師のリーダーシップの要素を明らかにすることである。【方法】1.WG 活動の状況及びスタッフの反応の事実を時系列にそってデータ化し、時系列表を作成する。2.時系列表から、スタッフの行動に変化をもたらしたWGの取り組みを特定する。3.2 で特定したWG の取り組みにおける、WG メンバーの思いと行動の特徴を明らかにする。4.3 の結果から、どのようなWG メンバーの思いと行動が、スタッフの意識・行動に望ましい変化をもたらしたのかを考察し、中堅看護師のリーダーシップの要素を導き出す。5.倫理的配慮:本研究は、A 病院倫理審査検討会の承認を得て実施した。【結果】時系列表の分析から、スタッフに変化をもたらしたWGの取り組みは、⑴電極シール置場の変更・増設、⑵送信機ケースの変更、⑶ SpO2 プローブ交換の促し、⑷電波切れ時の対応の周知、⑸テクニカルアラームについての講習会の開催、であると特定できた。WG メンバーの思いと行動は、スタッフの立場から面倒と思われる行動を追体験し、スタッフの安寧と患者の安全を両立させる対策を考え、その環境を整える、という特徴があった。【考察】スタッフの意識・行動に望ましい変化をもたらす事に繋がったのは、WG メンバーの思いと行動より、⑴スタッフにとって苦痛になっている環境を特定し、積極的かつ迅速に改善・行動した事、⑵チームにとっての問題をスタッフの立場から解決策を多面的に見出した事、⑶自分が分からない事や力が及ばない事に対し専門家や上席スタッフの力を借りる事ができるように依頼した事、これらの3 つの行動が導き出された。これらは中堅看護師のリーダーシップの要素であると考える。