第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演29群 在宅療養移行支援②

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場3 (304)

座長:横山 孝子

[口演M-29-2] 退院調整の実務経験が少ない看護師が抱える困難感

山本 紗恵, 小池 ゆかり, 望月 美記代 (滋賀医科大学医学部附属病院)

Keywords:退院調整看護師、退院支援、困難

【抄録】
【目的】地域包括ケアシステムの構築が求められる中、退院調整業務には専門的な知識や技術が求められる。その一方で、経験が少ない退院調整看護師は、病棟と異なる役割から、不安や困難を抱える。そこで、本研究では退院調整の実務経験が少ない看護師が抱える困難感を明らかにし、今後の教育・支援を検討する一助とすることを目的とした。【方法】半構成的面接法を用いた質的記述的研究である。対象者はA 病院患者支援センターに所属し、退院調整業務に従事して3年未満の看護師5名とした。インタビューの内容から退院調整看護師の困難に関する内容を抽出し、カテゴリーを生成して、考察を導いた。研究対象者には、目的と調査方法について書面及び口頭で説明し、同意を得た。また、研究の全過程で、プライバシー保護を厳守し、個人を特定できないようにした。【結果】分析の結果、《求められる役割に対する不安》《院内多職種との関係性構築》《院内での情報共有》《病棟主体の退院支援》《患者家族との関わり》《患者の退院支援に対する理解》《地域との情報共有》《地域による支援体制構築の違い》という8のカテゴリーを生成した。【考察】経験の少ない退院調整看護師は、専門的知識や経験の不足から、求められる役割と、自身の能力に差を感じ、《求められる役割に対する不安》を抱えている。また、《院内多職種との関係性構築》する上で、相談しやすい存在になるため、細かい気配りが必要とされることで困難を感じると考えられる。《院内での情報共有》では、求められる役割が備わっていないという自己認識から、連携を行うことに対し消極的になっていると考えた。そのため、病棟看護師に対して指導的なかかわりが不十分となり、《病棟主体の退院支援》を進めていくことが困難と感じる。また、《患者家族との関わり》では、どう関わり始めるかや、短期間での関係性構築に対し、困難を感じている。《患者の退院支援に対する理解》では、患者がADL の低下を自覚しておらず、療養生活における共通認識が得られないことで、退院支援が進まないことに困難を感じている。《地域との情報共有》では、知識や経験が乏しいという自覚から、地域関係者に必要な情報を提供できるか不安を抱えていると考えた。さらには《地域による支援体制構築の違い》に合わせた、柔軟な調整能力が求められることに困難を感じていると考えた。