第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演29群 在宅療養移行支援②

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場3 (304)

座長:横山 孝子

[口演M-29-4] 住み慣れた小離島で最期を過ごしたいと希望する終末期患者・家族の在宅移行支援

屋比久 倫子, 砂川 綾子, 古堅 はづき (沖縄県立八重山病院)

Keywords:小離島、終末期、在宅移行支援

【抄録】
【目的】終末期患者と妻が住み慣れた小離島で最期を過ごすという希望を叶えた在宅移行支援について報告する。なお本研究は対象者への説明・同意後、倫理委員会の承認を得た。【方法】[事例]小離島で妻と二人で暮らしていたA 氏は脳腫瘍で本島のA 病院で治療を受けていたが、転移性膵癌が見つかり、予後1 か月と主治医から説明があった。妻は「夫は島に帰りたいと言っていた、私も連れて帰りたい」と希望した。まずA 病院から離島のB 病院に転院し、在宅移行支援をすることになった。B 病院の医師から、小離島は医療・社会資源が乏しく急変時の対応は難しいと説明があった。それでも最期は住み慣れた場所で過ごさせたいという妻の気持ちは変わらなかったが、知識や経験のない介護への不安や夫を看取る不安が強かった。[問題]医療・社会資源が限られている小離島での介護と看取り、および介護の知識と経験がないことに関連した妻の不安[目標]多職種連携による在宅移行支援と、介護の知識を習得することで妻の不安が軽減する。[介入]離島診療所の医師や看護師にA 氏の自宅環境をアセスメントしてもらい、ケアマネジャーや訪問看護師と連携し支援体制を整えた。A 氏は今まで地域のために尽力し、島の宝のような存在で多くの人が帰りを待っていた。近隣の人々は介護ベッドの搬入を手伝い、A 氏が戻る準備を進めてくれていた。多職種で指導内容を計画し、妻におむつ交換や食事介助、口腔ケアなどを指導した。妻はケア中「一緒に帰ろうね」と話しかけ、A 氏も頷いていた。また小離島に帰ってからも介護方法を確認できるようにパンフレットを作製した。「最期の過ごし方」についてパンフレットを見せながら説明すると、妻は「これがあるといつでも見られます。苦しまないように過ごしてほしいけど、急に何かあった時が心配」と話した。妻の不安について島の医療関係者と情報を共有することを伝えた。妻は少しずつ身の回りの介護ができるようになり、A 氏は退院することができた。その後A 氏と妻は継続して地域の医療と支援により療養できていた。【結果】多職種連携および地域の医療や支援を得ながら在宅移行支援ができた。介護方法や最期の過ごし方について説明・指導することで妻の不安を軽減できた。【考察】介護の知識が全くなかった妻が介護方法を学び、多職種連携と地域の支援により、小離島でも安心して終末期患者を在宅介護できると学んだ。