第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演3群 セルフケア能力向上への支援

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場1 (302)

座長:永井 健太

[口演M-3-1] 手術後に身体的変化を伴う患者のセルフケア能力を高めるための看護の充実

船渡 祥子1, 橋本 麻由里2 (1.一宮西病院, 2. 岐阜県立看護大学機能看護学領域)

Keywords:セルフケア、手術後、尿路ストーマ

【抄録】
【目的】手術後に身体的変化を伴う患者の退院後の生活を見据え、継続した看護を行うことで、入院中に患者のセルフケア能力を高めるための効果的な看護のあり方を明らかにする。【方法】A 氏、30 歳代、女性、膀胱平滑筋肉腫と診断され、膀胱全摘手術目的で入院。尿路ストーマを造設した。セルフケア能力向上のための意図的な関わりをした事例である。看護過程を展開し診療録、看護記録から実践を確認しデータとした。A 氏へは個室で半構成的インタビューを実施し、逐語録としてデータとした。インタビューから得られた患者の不安や指導の成果は看護師間で共有した。本研究は、倫理審査部会による承認と、研究協力者に文書による同意を得て実施した。【結果】A 氏は30 代であり手技もすぐに獲得できスムーズにセルフケア能力を高めることができるだろうと考え、手順書を作成しチームで情報共有しながら手技の獲得に向けた指導を実施していたが、ストーマからの漏れが続いたことで不安が増強し前向きに受け入れていくことができなかった。A 氏から、洋服に対してや、海やサウナに行けるのかという質問があり、ストーマの手技獲得だけではなく、A 氏が大事にしているものや楽しみなど、ニーズを捉えて生活に即した指導をすることが必要ではないかと考えて介入したことが、不安の軽減につながりセルフケア能力を高めることにつながった。A 氏のインタビューでも、「社会復帰している人がたくさんいることや、何も制限なくできると知って不安が少なくなった」「ずっとやっていけるのかと不安があったが入院中に少しずつ受け入れることができた」と前向きな思いに変化したことから、手技の獲得だけではなく、A 氏の社会的背景を捉えた介入や指導が効果的であった。【考察】尿路ストーマ造設患者にとって、排泄経路の変更は、生活の中でどのようにうまく対処していけばよいか大きな不安の中にある。そのような状況の中、その都度体験する装具の扱いは、入院中の指導を体験し納得し受け入れていくことで日常生活に応じたセルフケア能力を高めていくことになると考える。患者にはそれぞれ人生の計画や背景がある。その人が求めているセルフケア能力にはADL だけではなく、自身の人生観や価値観を満たすものであることを願うと考える。看護師が患者の社会的背景を捉えた介入や指導をしたことで、患者自らが前を向きセルフケア能力が高まったと考える。