第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演3群 セルフケア能力向上への支援

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場1 (302)

座長:永井 健太

[口演M-3-2] 糖尿病足病変ハイリスク患者をフットケア外来受診へ繋げるためのケア介入の効果

田畑 みのり, 今田 真理子, 田中 容代, 澤田 共代, 田代 美貴, 飯塚 里美 (さいたま市立病院)

Keywords:フットケア外来、糖尿病足病変のリスク、スクリーニングシート

【抄録】
【目的】A 病院では糖尿病足病変ハイリスク患者(以下ハイリスク)のケア介入目的で2018 年に独自のスクリーニングシートを用い調査した結果、フットケア外来(以下ケア外来)の受診希望は4.8%だった。受診を促す為にスクリーニングシートを改定、看護師による説明書を用いた情報提供が受診行動に繋がるか検証した。【方法】2020 年9 - 11 月にA 病院通院中の糖尿病患者に改定スクリーニングシートを配布。ハイリスクだが受診希望がない場合、看護師が説明書を用いて情報提供。介入による受診の有無を従属変数、各項目を独立変数としてロジスティック回帰分析を行い、p<0.05 を有意水準とした。介入効果はフィッシャーの正確確率検定で比較。初回ケア外来で患者へアンケート調査。対象者にはアンケート等の回答は任意であり、個人を特定する情報は収集しない事を説明した。(承認番号B0326 号)【結果】対象者1027 名、ハイリスク405 名(39.4%)、ケア外来受診希望は介入なし46 名(11.4%)、介入あり33 名(8.1%)。介入後希望なし326 名(80.5%)。介入時間は平均3.3 分。男65.5%、女34.5%、年齢中央値69.0 歳。ロジスティック回帰分析は、爪切り困難OR 8.32(95%信頼区間2.9-23.2)p=5.2 × 10-5・男OR 3.82(1.3-11.0)p=0.013・胼胝、鶏眼、陥入爪OR 2.79(1.1-6.7)p=0.022・足の痺れOR 2.76(1.1-6.5)p=0.023 の4変数が抽出された。2018 年の介入なし4.8%と2020 年の介入あり19.5%との受診率の比較は介入ありの期間に有意に上昇した(p=2.143 × 10-13)。アンケート結果(n=64)から受診動機は「看護師の勧め」が78%と多く、介入の評価は「予防的ケアの理解」4.7 点(5 点満点)。【考察】介入を含めた受診率は15 ポイント上昇し、有意差があった。受診行動に繋がる因子としてセルフケア困難、性差、自覚症状の有無がフットケアの必要性の認識に繋がったと考えられた。アンケート評価からも説明書を用いて情報提供する介入の有用性が確認でき、ケア外来は予防的なフットケアの理解の場となっている。ハイリスクの約8 割が受診せず、足の状態を自覚しやすい簡易検査をする環境を整える等、ケア外来受診へのシステムの再構築が課題である。