第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演3群 セルフケア能力向上への支援

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場1 (302)

座長:永井 健太

[口演M-3-3] 個別性に活かす参加観察

武冨 佑香1, 伊与木 智代1, 古橋 洋子2 (1.赤羽リハビリテーション病院, 2.青森中央学院大学看護学部)

Keywords:参加観察、多職種連携、回復期リハビリテーション、個別性

【抄録】
【目的】プライマリーナースが担当患者のリハビリテーションを参加観察する事で、患者のありのままの姿を認識し患者の理解が深まり、個別性のある看護ケアを提供できる事を明らかにする。【方法】A 院の倫理委員会の承諾を得て行った。事例研究。入院中の患者2 名に対して、リハビリテーション中の様子を参加観察した。参加観察時は私服に着替え、対象者と20m 以上の距離をとりありのままの姿を観察した。患者の「発言」「表情」「様子」を全て時間軸に従い表にまとめた。明らかになった患者の一面・介助における留意点を踏まえ、看護計画を修正し、その後の患者の様子を看護記録に残した。【結果】a 患者は、深部感覚障害に伴う身体の傾きが強く、介助量は大きかった。車椅子乗車時は、枕を使用して姿勢の調整を行っていた。参加観察中にも身体の傾きは確認されたが、全身の鏡を見て姿勢の修正を促し、自身で補正が行えた。体幹が安定した状態で動作を行う事でより円滑に動作を行っていた。そこで病棟においても移乗動作の前に鏡を確認させ姿勢の自己補正を行い、その状態で排泄動作を行う事で介助量は軽減した。また、離床に対して前向きな発言も聴取されるようになった。b 患者は、高次機能障害に伴う注意障害により食事中も終始、注意散漫な状態が続いた。食事の動作が止まる毎に看護師の介助が必要であった。参加観察中は、集中して訓練に取り組む様子が観察された。理学療法士は、患者の視野の中央に立ち注意を自己に促す事で患者の注意は保たれていた。そこで、病棟において食事時は静かな個室に誘導した。患者の視野の中央に配膳し、看護師は患者の後方に立ち安全管理に徹した。結果、患者は集中して全量を自己摂取できるようになり、安全な食事動作が可能となった。【考察】a 患者は、介助量の大きさや自己の身体が意図したように動かない事を悲観し離床に対して消極的であった。鏡による体位の補正という代償手段を用いる事で、患者の出来る事が増え、自己肯定感も上がったと推察する。また一定の体位で、動作を行う事により一貫性が生まれ安定した動作を獲得できた。b 患者は、訓練中1 つの対象に集中出来るよう理学療法士が注意を促していた。食堂での食事摂取は、情報過多になっていたと考えられ、不必要な視覚や聴覚の情報を遮る事で食事動作に集中し、安全に摂取が出来るようになった。