[口演M-31-4] 児童思春期精神科病棟における熟練看護師の家族に対する退院支援プロセスについて（第2 報）
Keywords:児童思春期精神科看護、熟練看護師、家族、退院支援プロセス
【抄録】
【目的】児童思春期精神科病棟における熟練看護師の家族に対する退院支援プロセスを明らかにする。【方法】本研究は、ベナーの看護論をもとに臨床経験10 年以上（そのうち児童思春期精神科病棟5 年以上）の看護師を熟練看護師と定義した。所属施設の倫理委員会の承認後、対象者に研究の主旨および内容を口頭と紙面で説明し、同意を得られた熟練看護師6 名を対象に半構成的面接を行った。調査期間は2019 年11月1 日～ 2020 年1 月31 日。研究対象者の同意のもと、インタビュー内容をIC レコーダーで録音し、得られたデータを逐語録に起こして分析した。本研究は、データに密着した現象を詳細に記述することが可能なグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に質的帰納的に分析した。データ分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチの研究に精通しているスタッフに指導を受け、分析の信頼性と妥当性に努めた。【結果】対象者の臨床経験年数の平均は18 年3 カ月（± 8 年4 ヵ月）、児童思春期精神科病棟での通算勤務年数は平均7 年9カ月（± 1 年6 ヵ月）であった。熟練看護師が、実践する家族の退院支援プロセスは、《退院後の生活を設計する》、《多職種間での支援体制の統一化》、《家族の理解者になる》、《理想と現実の差を縮める》、《現状に即した支援の再アセスメント》、《支援方法の再確認》、《地域生活に移行するための準備》の7 つのカテゴリーで構成され、それぞれのカテゴリーには具体的な看護として23 のサブカテゴリーが抽出された。【考察】熟練看護師は、入院中に辿るだろう経過や必要となる支援を今までの経験知から予測し、入院早期から多職種と支援体制の土台作りを固めていた。クレームがあったり、近づきにくそうな家族であっても、そこには家族なりの理由や何らかの助けを求めるサインであると捉え、心に寄り添えるようかかわっていた。しかし、家族がありのままの子どもを受け入れるには時間が必要であり、それは容易ではない。そのため、家族と子どもへの支援の取り組みを共有し、家族が思い描く完璧な子ども像を目指すのではなく、目の前にいる子どもの行動特性を理解し受け入れることを目指して子どもの課題や成長を丁寧に伝えていた。これは家族が子どもの成長を感じ取りながら一歩ずつ心の距離を縮める作業となり、子どもの特性理解を支えることに繋がっていたと考える。
【目的】児童思春期精神科病棟における熟練看護師の家族に対する退院支援プロセスを明らかにする。【方法】本研究は、ベナーの看護論をもとに臨床経験10 年以上（そのうち児童思春期精神科病棟5 年以上）の看護師を熟練看護師と定義した。所属施設の倫理委員会の承認後、対象者に研究の主旨および内容を口頭と紙面で説明し、同意を得られた熟練看護師6 名を対象に半構成的面接を行った。調査期間は2019 年11月1 日～ 2020 年1 月31 日。研究対象者の同意のもと、インタビュー内容をIC レコーダーで録音し、得られたデータを逐語録に起こして分析した。本研究は、データに密着した現象を詳細に記述することが可能なグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に質的帰納的に分析した。データ分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチの研究に精通しているスタッフに指導を受け、分析の信頼性と妥当性に努めた。【結果】対象者の臨床経験年数の平均は18 年3 カ月（± 8 年4 ヵ月）、児童思春期精神科病棟での通算勤務年数は平均7 年9カ月（± 1 年6 ヵ月）であった。熟練看護師が、実践する家族の退院支援プロセスは、《退院後の生活を設計する》、《多職種間での支援体制の統一化》、《家族の理解者になる》、《理想と現実の差を縮める》、《現状に即した支援の再アセスメント》、《支援方法の再確認》、《地域生活に移行するための準備》の7 つのカテゴリーで構成され、それぞれのカテゴリーには具体的な看護として23 のサブカテゴリーが抽出された。【考察】熟練看護師は、入院中に辿るだろう経過や必要となる支援を今までの経験知から予測し、入院早期から多職種と支援体制の土台作りを固めていた。クレームがあったり、近づきにくそうな家族であっても、そこには家族なりの理由や何らかの助けを求めるサインであると捉え、心に寄り添えるようかかわっていた。しかし、家族がありのままの子どもを受け入れるには時間が必要であり、それは容易ではない。そのため、家族と子どもへの支援の取り組みを共有し、家族が思い描く完璧な子ども像を目指すのではなく、目の前にいる子どもの行動特性を理解し受け入れることを目指して子どもの課題や成長を丁寧に伝えていた。これは家族が子どもの成長を感じ取りながら一歩ずつ心の距離を縮める作業となり、子どもの特性理解を支えることに繋がっていたと考える。