第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演33群 看護教育~既卒者・異動者への教育~

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場4 (102)

座長:西村 宣子

[口演M-33-2] NICU に配置転換になった3 年未満の看護師が抱える困難

高橋 千帆, 早坂 圭子, 多田 麻美 (いわき市医療センター)

Keywords:NICU、配置転換、抱える困難

【抄録】
【目的】A 病院NICU では、病棟独自に教育プログラムを組み、配置転換後3 年で自信を持ち安全な看護が提供できることを目標に育成を進めている。配置転換者が専門性の高い看護を習得するには、育成に携わる看護師からの適切な支援が必要である。職場全体で支援環境を整えるために、配置転換者が抱える困難を明らかにする。困難とは、その業務を行う上での難しさ、悩み、苦労、不安、ストレスとした。【方法】期間:2021 年6 月~ 11 月、対象:NICU に配置転換になった3 年未満の看護師7 名。方法:対象者にインタビューは任意であること、参加・不参加に関わらず不利益を生じないことを説明した。研究者1 名が個室で30 分程度、対象者の疲労負担を確認しながらインタビューした。内容は、配置転換時から現在まで、新生児ケア、家族支援、医療機器管理など10 項目の困難と感じた場面についてインタビューした。得られた回答から逐語録を作成、コード、サブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。新生児集中ケア認定看護師のスーパーバイズを受け検討を重ねた。【結果】対象者7 名の配置転換時の看護師経験年数は平均12.7 年だった。配置転換者が抱える困難を示す260 のコード<人工呼吸器がわからない><新生児の処置が怖い><今までの経験が活かされない><ファミリーケアの進め方が難しい>など、29 のサブカテゴリー≪医療機器管理の難しさ≫≪愛着形成支援の難しさ≫≪ NICU における新生児看護に対する不安≫≪経験が活かされないことに対する悩み≫など、6 のカテゴリー『NICU 特有の看護技術習得の難しさ』『NICU 特有の業務に対するストレス』『自己効力感が低下する悩み』『家族との関わりの難しさ』『医療者間の人間関係に伴うストレス』『配置転換に伴うストレス』が抽出された。【考察】配置転換者はNICU 特有の医療機器管理、看護技術に成人看護の経験を活かせない悩み、看護技術が生命の危機に直結する恐怖から処置に対する不安を感じていた。生命維持と愛着形成のための家族支援を同時に行うことは難しく、経験不足から生じる不安により自己効力感が低下していた。専門性の高い看護技術の習得とケアを行う上での不安やストレスの軽減には十分な訓練と見守りが必要である。そこを再認識し、できていることを認め、成功体験が得られる場面を繰り返し提供するなど、自己効力感を高める支援が必要である。