第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演33群 看護教育~既卒者・異動者への教育~

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場4 (102)

座長:西村 宣子

[口演M-33-4] 内視鏡室既卒新人看護師に必要な指導・支援と求める指導・支援の明確化

-フォーカスグループインタビューを通して-

於久 賦司代, 羽明 輝史, 小田原 千春 (大分赤十字病院)

キーワード:内視鏡看護、既卒新人看護師、指導、支援

【抄録】
【目的】内視鏡室既卒新人に必要な指導・支援と内視鏡室既卒新人が求める指導・支援を明らかにする。【方法】対象者はA 病院内視鏡室の看護師8 名、准看護師1 名。内視鏡看護経験年数別に2 グループに分けフォーカスグループインタビュー(以下FGI)を行った。逐語録から得られた情報を「内視鏡室既卒新人に必要な指導・支援」と「内視鏡室既卒新人が求める指導・支援」に分け内容を抽出してコード化した。大分赤十字病院看護部倫理委員会の承認を経て実施した。【結果】必要な指導・支援は〔プリセプター制の導入と適切な人員配置によるサポート体制の充実〕〔検査マニュアルと連動し具体的な表現を用いた技術チェックリストでの指導〕〔研修機会の提供〕〔トラブルシューティングマニュアルの活用〕〔既卒新人を育成するための他職種との連携〕の5 個のカテゴリーが抽出された。求める指導・支援は〔頼りになる周囲のスタッフからのサポート〕〔写真を活用した検査マニュアルを用いた指導〕〔検査マニュアルと連動し具体的な表現を用いた技術チェックリストでの指導〕〔多様な勤務形態に応じた個別性のあるサポート体制による指導〕の4 個のカテゴリーが抽出された。【考察】専門性の高い内視鏡看護では経験を積んだ既卒新人でもリアリティショックを経験する可能性がある。FGI では、内視鏡室のOJT だけではレディネスや到達度などの把握が不十分なためプリセプターが必要とのコードが抽出された。プリセプター制の導入により継続的に支援することでリアリティショックを緩和し、OJT による随時指導だけでなく個別性のある指導を行うことができると考える。また、長期的なサポート体制の重要性についての発言もあり、個室で単独で検査介助する内視鏡看護の特徴として、様々な場面でサポートができるフリーの看護師の配置が必要と考えられる。一方、検査マニュアルと連動したチェックリストの必要性は両グループともに感じている。マニュアルに使用物品や配置などの写真を取り入れチェックリストを細かく設定することで、イメージがつきやすくなるだけでなくOJT においても到達度を把握しやすくなると考える。内視鏡室には様々な経歴や勤務形態の看護師がいる。今後、異なる背景を持つ看護師が内視鏡看護において多様な働き方を実現させるため、個別性のあるサポートや看護師が安心して働き続けることができる体制づくりが必要不可欠であると考える。