第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演34群 看護教育~継続教育~

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 口演会場4 (102)

座長:長谷川 美穂

[口演M-34-1] 看護研究経験による看護実践上の意識の変化と影響を受けた研究プロセス

渡邉 葉子1, 安藤 佑貴子1, 岡部 裕子1, 佐野 良子1, 松永 佳子2 (1.富士市立中央病院, 2.東邦大学看護学部看護学科)

キーワード:看護研究、意識の変化、研究プロセス

【抄録】
【目的】A 病院看護師が看護研究(以下、研究)経験から看護実践上での意識の変化と自身に影響を受けた研究プロセスを明らかにする。【方法】副看護長以下、正規看護師427 名へ無記名自記式質問紙を配布、各病棟に2 週間留置き回収した。調査内容は、属性について(7 問)研究による意識の変化(8 問)研究の7 つのプロセスについて看護実践に有効であったと思うものである。意識の変化は5 ポイントのリッカート、研究プロセスは1 位から3 位まで順位をつけてもらった。データ分析は記述統計量を算出後、属性と意識の変化についてχ二乗検定、研究プロセスは、7 つのプロセスに関して1位から3位までを得点化した。【結果】回収数388(回収率90.8%)であった。そのうち研究を経験したもの213 名(54.9%)を分析対象とした。1. 属性:平均年齢43.9 歳。看護師経験年数18.4 年であった。研究回数は1 回が84 名、2回が80 名、3 回以上が47 名であった。2. 意識の変化:「根拠を考えて看護援助をするようになった」平均3.86(SD0.91)点「研究結果を意識して関わるようになった」平均3.88(SD0.92)点「患者へのかかわり方が積極的になった」平均3.67(SD 0.98)点であった。3. 関連要因:研究回数が多いものは「研究結果を意識して関わるようになった」(χ2 =7.46、p = 0.023)「仕事に自信が持てるようになった」(χ2 =8.22、p = 0.016)「スタッフに勧めていきたい」(χ2 =8.60、p=0.013)とプラスの意識に変化していた。4. 影響を受けた研究プロセス:文献検索は「看護実践においてプラスになった」、分析は「支援が欲しかった」、研究計画書の作成は「支援があってよかった」であった。【考察】研究の経験により、看護実践上の意識は高まり、結果を踏まえた根拠のある看護実践を提供するようになったと意識の変化がみられている。このことから、看護の質の向上に繋がっていると示唆された。研究経験を重ねることで、提供する看護ケアは患者への積極的な関りとなっていた。研究プロセスの中で文献検索はプラスの効果があるため、日常の看護ケアにおける疑問の解決には文献検索を習慣化することが看護実践の質を高める可能性がある。しかし、研究を勧めるためには、計画、分析の段階で支援を必要としているため、今後も支援していきたい。