第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演35群 対象を尊重する看護

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場4 (102)

座長:増渕 美恵子

[口演M-35-3] 急性期混合病棟における患者と看護師がナースコールに対して抱く思い

-命をつなぐナースコールを患者が安心して押せる病棟を目指して-

松浦 安由実, 髙橋 裕子 (宮崎県立日南病院)

キーワード:ナースコール、患者、看護師、インタビュー調査、アンケート調査

【抄録】
【目的】患者と看護師がナースコール(以下、NC と示す)に対して抱く思いを明らかにする。【方法】研究期間:令和3年6 月~ 8 月。A 病棟の認知機能やADL は問わず思いを表出できる入院患者に、NC 使用場面を回想できるインタビューガイドを用いて個別インタビューを行った。A 病棟の看護師25 名に、看護師が抱く思いと患者の立場に立ち考えられるよう想定した問いを設けた無記名自由記述・選択法のアンケートを行った。得られたデータはそれぞれ逐語録に起こし、コードを抽出、類似性によって分類しカテゴリー化を行った。研究対象者に、研究趣旨やプライバシーの厳守を説明し回答をもって同意とした。【結果】患者4 名のインタビュー:37 のコード、15 の『サブカテゴリー』、6 の〈カテゴリー〉が抽出された。看護師24 名(回収率:96%)のアンケート:160のコード、44 の『サブカテゴリー』、9 の〈カテゴリー〉が抽出された。患者と看護師の双方が、NC は〈看護師への命綱〉〈患者が安全安楽に過ごすための命綱〉と認識し、NC の〈設置場所の工夫が重要〉と捉えていた。患者全員からNC は押しやすく、〈看護師の声かけで安心感を抱き押しやすくなる〉との思いを得た。そして、『看護師が来てその都度きちんと対応してくれた』という〈NC での良い経験が次のNC に繋がる〉。一方、患者は〈我慢や遠慮して看護師を待っている〉ことが判明したが、多くの看護師は患者がNC を〈押す前後で遠慮や不安を抱えて待っている〉と捉えていた。また、患者に〈押してほしいNC もある〉ことから、〈NC が鳴る前に患者のニーズを予測しあらゆる方法を活用している〉かつ〈患者が押しやすいように工夫を凝らしている〉ことが明らかとなった。アンケートで看護師・患者双方の立場で回答できる問いを設けたことは、看護師がNC について『考えるきっかけとなり心掛けへ繋がった』。【考察】患者の病状変化の著しい急性期病棟では、患者のストレスや不安要素を除去し苦痛の軽減や回復を促すために、NC を安心して押せるような関わりが重要となる。患者と一緒にNC の設置場所を決める工夫や看護師が持つ知識や方法を共有し活用することで、患者への利益となり質の高い看護の提供へと繋がる。看護師の忙しさがNC を押すことを躊躇させてしまわないよう、患者が安心感を抱き意思を表現しやすい声かけや表情などの姿勢が大切となる。