第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演35群 対象を尊重する看護

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場4 (102)

座長:増渕 美恵子

[口演M-35-4] A 病院における寄り添う看護の実態調査

松竹 晃司, 小野 菊世, 石丸 都希子, 神田 恵里, 中元 めぐみ, 原田 久美子 (九州医療センター)

Keywords:寄り添う看護、実践状況、評価表

【抄録】
【目的】A病院では、「寄り添う」を病院・看護部理念として掲げており、患者・家族へ「寄り添う」ことは重要視されているが、どのようなことが「寄り添う看護」となるのか、実践内容は定めていない。A病院における寄り添う看護の定義とほぼ同義であった岡氏の『日本における「寄り添う看護」の実践内容に関する文献検討』研究を参考に、独自の評価表を作成し、寄り添う看護の実践状況の実態を調査した。【方法】患者に寄り添う行動を『対象者の悲観的な心情を察知する行動』『対象者を慮る行動』『対象者の意思決定を支援する行動』という3 カテゴリ17 サブカテゴリに分類し作成した5段階尺度の評価表を用いて調査した。期間は2021 年11 月8 日~12 月10 日とし、結果は単純集計し、属性毎に比較・考察を行った。対象は、研究の目的・内容の説明を受け、評価表の回答が得られた看護師472 名。看護師の属性(性別、年代、看護師経験年数)以外に個人が特定できないように配慮した。本研究はA 病院倫理審査委員会にて承認を受けている。【結果】A 病院看護師がよく実践している・実践していると評価した項目は、『傾聴する』『共感する』『安心する声掛けをする』の3項目でいずれも84.1%であった。次に、実践していない・全く実践していないと評価した項目は、『意思決定を支援する』7.8%、『意思決定時に情報提供する』4.6%、『身体に触れる』4% という3 項目であった。また、経験年数が浅いほど、実践していない評価の割合が高かった。【考察】患者に寄り添う行動を評価したところ、よく実践していると回答した項目は、全て『対象者を慮る行動』のカテゴリであった。全く実践していないと回答した項目は、『対象者の意思決定を支援する行動』に多く該当し、寄り添う項目として意思決定を支援する行動が、A 病院看護師の弱みであると考えられた。看護師の経験年数が浅いほど、実践していない評価の割合が高かったことは、看護師の知識・技術が伴わないため当然の結果と考えられるが、改めて意思決定を支援する項目の教育の必要性が示唆された。患者・家族へ寄り添うためには、対象の思いを察知し、慮るという看護師個々の感性高めること、そして意思決定を支援するという知識・技術の習得が重要になると考えられた。本研究の限界は、今回の調査結果は看護師の自己評価に過ぎず、患者の評価と比較できていないことである。