第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演36群 母子の入退院支援・地域連携

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場4 (102)

座長:木下 千鶴

[口演M-36-3] A 病院における母子保健に関する地域連携会議の意義と課題

山崎 亜矢子, 二宮 佑季, 大和田 彩美 (済生会横浜市南部病院)

Keywords:地域連携、多職種連携、母子保健

【抄録】
【目的】A 病院では、医師(産科、小児科、精神科)、助産師、NICU 看護師、小児救急看護認定看護師、公認心理師、医療ソーシャルワーカーから構成する病院職員と、区の小児科医師、保健師、医療ソーシャルワーカーが6か月毎に参集し、気になる妊婦連絡会(以下定例会)を開催している。本研究の目的は、定例会の意義と今後の連携における課題を明らかにすることである。【方法】参加者23 名に定例会の意義と課題についてアンケートを実施した。アンケートは個人が特定されないよう配慮し、アンケートの回答をもって同意とした。アンケートで得られたデータは単純集計し、自由記載については記載内容をカテゴリーに分析した。【結果】19 名より回答が得られ、回収率は82.6%であった。対面での定例会で、病院、地域職員双方の考えや価値観の理解は深まったかとの質問には「とても深まった」が58%、「深まった」が42%であった。また、支援対象者の支援を考える上で役立ったかとの質問には「とても役立った」が53%、「役立った」が47%であった。意義については、「顔の見える関係による支援・共有のしやすさ」「他機関・他職種の支援方法の理解とニーズの把握」「他機関・他職種から得た情報を活用した支援内容の変化」「子育てしやすい地域づくり」の4カテゴリーが抽出された。課題については、「タイムリーな情報交換と協議」「個人情報保護と情報共有の両立」「症例を振り返る機会」「連携エリア・支援機関の拡大」の4カテゴリーが抽出された。【考察】結果より、対面での地域連携会議は、病院、地域職員双方の考えや価値観の理解が深まり、支援対象者の支援を考える上で役立つ機会となっていた。対面での定例会は円滑な連携を促進し、病院、地域職員双方の支援方法やニーズを把握する機会となっていた。また、参加者自身が定例会で得た情報を活用することで、支援内容に変化をもたらしていた。課題は、定例会では個人情報保護の観点から共有できる内容が制限されるため、多職種多機関が参加する個別の事例カンファレンスや症例の振り返りをタイムリーに開催し、支援方法を検討することが求められていた。現在はA 病院が所在する地域の連携に限定されているが、連携エリア・支援機関を拡大することで、より柔軟な連携に向けた支援体制を検討していくことが今後の課題であることが示唆された。