第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演37群 リスクマネジメント

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場5 (103)

座長:野田 洋子

[口演M-37-3] インシデントレポートからみる看護師による誤薬事故の現状

宮澤 初美, 長谷川 智美, 杉山 希, 高橋 真紀子, 荻島 真弓 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

キーワード:医療安全、インシデントレポート、誤薬事故、看護師

【抄録】
【目的】A 病院における看護師が記載した誤薬事故に関するインシデントレポートの内容分析を行い、現状を明らかにする。【方法】20XX 年度に看護師が記載した誤薬に関するインシデントレポートを、事故の種類、内容別に分類した。師長誤薬ワーキンググループでレポートの内容を読み込み、事故の原因や背景と考えられる要素を抽出した。原因が類似しているものと考えられるものを集めて名称を付けて表に整理した。【結果】インシデントレポート497 件の内訳は、<点滴・注射> 265 件、<内服薬> 150 件、<インスリン> 37 件、<輸血> 23 件、<その他> 22 件であった。<点滴・注射>では[急速滴下]が最も多く、原因としては、「ラウンド時の観察ができていなかった」、「滴下を速めた」などがあった。[無投薬]は、「点滴が準備されなかった」ために発生しているものが多く、その原因は「受け持ち以外のスタッフが点滴を準備」していたり、「あるべき場所に薬剤が置かれていなかったため気づかなかった」ことにあった。[投与量間違い]は、「輸液ポンプの設定が間違っていた」ものが多く、その原因としては、「指示変更時に設定変更をしていなかった」ことや、「計算間違い」があった。<内服薬>では、[無投薬]が最も多く、「薬の準備ができていなかった」ため事故になっているものが多かった。その原因は、「別のスタッフの準備に不備があったが、確認時に気づけなかった」ことや、「指示を見落としていた」ことにあった。[指示のミス、不備]では、「処方と指示の不一致」があったことや、「指示が2つあった」ことが事故につながっていた。[投与量間違い]の原因は、「量を間違えて準備した」ことにあり、その多くが「他のスタッフの準備に不備があったが、確認時に気づけなかった」ことにあった。<インスリン>では、[無投薬]が最も多く、原因は「指示を見落とした」ことにあった。【考察】与薬までに複数のスタッフが関わり、他者に依存した体制があるため、プロセスの簡素化が必要と考える。自施設ではダブルチェックを必要とする薬剤を絞り込み、不要なチェックは廃止しているが、ダブルチェックが形骸化しており、エラーが発見できていない現状があるため、再考が必要である。また、指示の見にくさ、わかりにくさが事故に繋がっているものもあるため、わかりやすい指示を医師が出すためのルール整備も必要と考える。