[口演M-37-5] 転倒・転落減少を目指し、個別性を重視した取り組み
-個別性のある情報共有・計画立案を目指して-
Keywords:転倒・転落、情報共有、個別性
【抄録】
【目的】A 病院B 病棟(以下B 病棟と呼称)での転倒・転落件数は、平成30 年33.7%であったが、令和1 年は、35.7%まで増加している。転倒・転落事故を減少させるためには、転倒・転落発生原因の分析が必要である。本研究では個別性のある対策を、立案・実施・評価を繰り返す事によって転倒・転落の受傷件数減少に繋がったため、ここに報告する。【方法】量的研究。研究期間は、令和1 年1 月~令和2 年12 月、対象者は、B 病棟看護師17 名。卒後1 ~ 2 年をA 群(4 人)、3 ~ 9 年をB 群(3 人)、10 年以上をC 群(10 人)と分類し、勉強会直後、勉強会3 ヶ月後、カンファレンス後、インタビューを行った。調査項目は、勉強会とカンファレンス後の転倒・転落予防に対する意識・考え方の変化(複数回答あり)を設定。2019 ~ 2020 年に発生した、転倒・転落に関するインシデント・アクシデントレポートの記載を内容分析し、項目毎に分類した。受傷を示す記載があったレポート件数と、1 ~ 12 月に記載されたレポート件数の合計との比率を計算した、受傷率を比較した。倫理的配慮 研究内容は院内倫理員会の了承を得た。インタビュー時は記号で呼び、個人が特定されないようにした。自由意思に基づくものであり、協力が得られない場合でも不利益が生じない事について、書面で対象者に伝えて同意を得た。【結果】薬剤と転倒リスクに関して、勉強会直後はA 群・B 群0%、C 群20%発言あり。勉強会3 カ月後は、A 群・B 群100%発言。C 群20%で変化なし。カンファレンス後は、A 群・C 群100%、B 群67%が発言。情報共有・個別性に関して、勉強会直後はA 群・B 群0%、C 群10%が発言。勉強会3 カ月後は、A 群・B 群0%、C 群60%が発言。カンファレンス後は、A 群0%、B 群67%、C群300%発言あり。レポートの内容分析では、薬剤と転倒リスク、情報共有・個別性に関する記載が300%増加。受傷率は、2019 年が41.6%。2020 年は32.2%に減少。【考察】勉強会・カンファレンスを重ね、転倒・転落前後の精神状態・行動、訴えの内容、薬剤内容などを含めた個別的な視点で理由・原因を把握し、病棟全体で情報を共有する必要性を獲得したと推察される。情報共有・個別性を、転倒・転落対策に反映させることで転倒・転落が発生しても外傷を負いにくい状況を形成でき、受傷率の低下に繋がる事が明らかになった。
【目的】A 病院B 病棟(以下B 病棟と呼称)での転倒・転落件数は、平成30 年33.7%であったが、令和1 年は、35.7%まで増加している。転倒・転落事故を減少させるためには、転倒・転落発生原因の分析が必要である。本研究では個別性のある対策を、立案・実施・評価を繰り返す事によって転倒・転落の受傷件数減少に繋がったため、ここに報告する。【方法】量的研究。研究期間は、令和1 年1 月~令和2 年12 月、対象者は、B 病棟看護師17 名。卒後1 ~ 2 年をA 群(4 人)、3 ~ 9 年をB 群(3 人)、10 年以上をC 群(10 人)と分類し、勉強会直後、勉強会3 ヶ月後、カンファレンス後、インタビューを行った。調査項目は、勉強会とカンファレンス後の転倒・転落予防に対する意識・考え方の変化(複数回答あり)を設定。2019 ~ 2020 年に発生した、転倒・転落に関するインシデント・アクシデントレポートの記載を内容分析し、項目毎に分類した。受傷を示す記載があったレポート件数と、1 ~ 12 月に記載されたレポート件数の合計との比率を計算した、受傷率を比較した。倫理的配慮 研究内容は院内倫理員会の了承を得た。インタビュー時は記号で呼び、個人が特定されないようにした。自由意思に基づくものであり、協力が得られない場合でも不利益が生じない事について、書面で対象者に伝えて同意を得た。【結果】薬剤と転倒リスクに関して、勉強会直後はA 群・B 群0%、C 群20%発言あり。勉強会3 カ月後は、A 群・B 群100%発言。C 群20%で変化なし。カンファレンス後は、A 群・C 群100%、B 群67%が発言。情報共有・個別性に関して、勉強会直後はA 群・B 群0%、C 群10%が発言。勉強会3 カ月後は、A 群・B 群0%、C 群60%が発言。カンファレンス後は、A 群0%、B 群67%、C群300%発言あり。レポートの内容分析では、薬剤と転倒リスク、情報共有・個別性に関する記載が300%増加。受傷率は、2019 年が41.6%。2020 年は32.2%に減少。【考察】勉強会・カンファレンスを重ね、転倒・転落前後の精神状態・行動、訴えの内容、薬剤内容などを含めた個別的な視点で理由・原因を把握し、病棟全体で情報を共有する必要性を獲得したと推察される。情報共有・個別性を、転倒・転落対策に反映させることで転倒・転落が発生しても外傷を負いにくい状況を形成でき、受傷率の低下に繋がる事が明らかになった。