第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演38群 認知症者の看護

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM 口演会場5 (103)

座長:千田 睦美

[口演M-38-4] 認知症患者に対応する看護師の現状

-日々の関わりによる知識の定着-

吉村 椎菜, 中島 太志, 櫻井 恵真 (榛原総合病院)

Keywords:認知症患者、対応、困難感、知識

【抄録】
【目的】認知症患者への対応について、その知識を持続的に活用できるのか検討するため看護師の認知症ケアの現状を明らかにし、今後の認知症ケアの質向上への示唆を得る。【方法】2021 年6 月~ 2022 年1 月に急性期病棟の看護師74 名に「認知症に対する認知度と認知症患者への対応」についてアンケート調査した。C 病棟に所属する看護師を対象に認知症勉強会を実施後、3 名を無作為に抽出し半構造化面接を行った。内容は承諾を得て録音、逐語録を作成しカテゴリー化した。3 か月後、6 か月後に同内容のアンケート調査を実施した。本研究では対象者には研究の主旨、協力の自由、個人情報の保護、得られたデータは目的以外に使用しないことを書面にて説明と同意を得た。【結果】一次調査では認知症症状は9 割が回答でき、ユマニチュードやパーソン・センタード・ケアを6 割が知っていたが、内容も理解している人は5 割であった。二次調査のインタビューでは《患者の真のニーズに目を向けたいという思い》《看護師の認知症患者の反応への認識》《看護師の認知症患者への負の思い》《実践における認知症ケアの実際》《看護師が大切にしたい認知症患者との関わり方》《認知症ケアの実践は難しい》《反省・振り返りと今後への期待》の7 つのカテゴリーが抽出された。三次調査では認知症症状に対する知識は8 ~ 9 割を保持していた。【考察】看護師の5 割以上は技法を意識して関わっている。しかし、認知症ケアの実践は認知症の種類・程度の違いから技法を活用しても評価しにくいため、適切な関わりができていたか実感しにくいと推察する。認知症患者は自己の感情や思いを表現することが難しいため、患者を正しく捉えることが困難である。それが看護師の自信を喪失させ、認知症ケアの実践の難しさに繋がっていると考える。筆者は、認知症ケアの困難感やジレンマは看護師の認知症に対する知識や関わり方を知らないことによるものと考えていた。実際に5 割以上が関わり方に対する知識がない状態で関わっていた。しかし、勉強会を行ってから3 か月後に9 割、半年後では8 割が認知症の症状について回答できていた。このことから看護師は日々実践の場で認知症患者と関わっており、その対応自体が振り返りに代わり、知識の定着に繋がっていると言える。また、カンファレンスの場で継続的にリフレクションを行うことが認知症ケアの質向上に繋がると考える。