第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演39群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場5 (103)

座長:尾田 由香

[口演M-39-4] コロナ対応病棟看護師のモチベーションの要因

-ストレスとモチベーションの関連を調査して-

安部 友子, 山本 修, 大場 毅, 中村 有里, 堀 幸雄, 田中 美穂, 松尾 光代 (久留米大学病院)

キーワード:コロナ対応病棟、ストレス、モチベーション

【抄録】
【目的】コロナパンデミック状況下で対応した医療従事者のうつ状態や離職の高さが報告されているが、A 病院B 病棟において離職者や休職者は未だ出ていない。Demerouti らはモチベーションが高いことがストレス低下に効果があると述べている。B 病棟のストレスとモチベーションの相関と要因を明らかにし、モチベーションを維持するための職場環境について検討する。【方法】B 病棟においてコロナ中等症患者の対応を行った看護師32 名に対して自記式質問調査を行った。調査項目は、個人属性、ストレス因を測定する尺度としてコロナ診療に従事する医療者の精神的・社会的負荷を検出するTMDP、モチベーションを測定する尺度としてMSQ 法を使用する。TMDP は全9 項目で構成され、4 件法で点数化し合計点数が高いほどストレスが高いと判断する。MSQ 法は全41 項目から構成され、5 項目の「モチベーションチャージ(以下チャージ)」を4 件法で点数化し、合計点数が高いほどモチベーションが高いと判断する。その他36 項目はモチベーションの因子(以下因子)であり、「適職」「プライベート」「自己表現」「環境適応」「環境整備」「人間関係」「業務遂行」「期待・評価」「職務管理」に分類され、4 件法で点数化し因子毎の平均値を用いる。t 検定・多変量解析にてTMDP とチャージ、因子について比較を行った。統計解析はJMP Pro16 を用いて有意水準5%以下とした。倫理的配慮はA 病院看護部の承認を受けて実施した。【結果】TMDP9 項目の平均値は11.3/36 点、チャージ5 項目の平均値は13.75/20 点であった。因子の各項目の平均値では「適職」2.5/4 点、「自己表現」2.5/4 点であり、「環境整備」3.1/4 点、「人間関係」3.2/4 点が高値を示した。t検定の比較では、TMDP とチャージには負の相関を認めた(p =0.014)。チャージと因子を多変量解析し、「適職」において有意に関連を認めた(p<0.001)。【考察】TMDP とチャージが負の相関を示す結果であり、先行研究同様ストレスとモチベーションが互いに相互作用を生じていると考えられる。パンデミックという特殊な環境下で「適職」の値を上げることは難しい。感染リスク管理のための「環境整備」、協働性を高めるための「人間関係」がモチべーションを保つ要素として作用したと考える。