第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演39群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 口演会場5 (103)

座長:尾田 由香

[口演M-39-5] 看護師が抱えるストレスの実態調査

-コロナ前後の休日の過ごし方と仕事への影響-

塚本 帆香1, 宮原 佐歩1, 横井 心1, 飴 桃子1, 樋口 朋子1, 上野 栄一2 (1.富山市立富山市民病院, 2.奈良学園大学登美ヶ丘キャンパス保健医療学部看護学科)

キーワード:COVID-19、コロナ禍、外出自粛、行動制限、ストレス

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染症の流行で、長期化する外出自粛がもたらす看護師の休日の過ごし方とストレスの関連を実態調査し、仕事への影響を明らかにすることとした。【方法】対象はA 病院外来及び病棟看護師(卒後1、2 年目を除く)約100 名。B 県で2020 年3 月に最初の感染例が確認されるまでをコロナ前と定義し、第1 波の時期を調査期間とした。コロナ前後のストレスと休日の過ごし方において独自に作成したアンケート及び鈴木らの「SRS-18 尺度質問票」を用いて実態調査し結果を単純集計した。ストレス18 項目は「子供あり・なし」群でカイ2 乗検定を行った。【結果】ストレスを感じている状況は多い順にコロナ前「仕事量」「仕事内容」、コロナ後「外出自粛・行動制限」「自分や家族のコロナ感染への不安」だった。休日の過ごし方は多い順にコロナ前「友人に会う」「外食に行く」、コロナ後は「睡眠をとる」「テレビ・動画配信サービスの視聴をする」だった。コロナ後の休日の過ごし方の変化で仕事へのやる気・モチベーションが「やや下がった」「下がった」と答えた人は全体の約7割、休日の過ごし方とインシデントを起こす回数に影響があると答えた人は2 割だった。SRS-18 尺度における全体の平均評価は「普通」で「子供あり・なし」群のカイ2 乗検定では30 代「怒りっぽい」「嫌だと思う」「集中できない」と40代の「慰めて欲しい」で有意差を認めた。【考察】長期化する外出自粛でストレスを感じる状況や休日の過ごし方は変化した。家族や同僚、患者に感染させる不安は偏見を恐れ他者と共有しづらく、身体面・精神面に影響を与えたと推測する。コロナ前は外出し人と過ごすことでストレスコントロールしていたが感染の恐れや医療従事者の責任から感染対策を重視し個人での過ごし方に変化した。そのため互いに悩みを相談しストレスを緩和する機会は減少し意欲低下に繋がったと推測する。年代別では30 代は家族構成や職位の変化による精神的負担、40 代では更年期特有のホルモン変化や親役割の終了による喪失感から有意差を生じたと推測された。休日の過ごし方により仕事のやる気やモチベーションに影響を生じたが、看護師が抱えるストレスとインシデントを起こす回数の間には大きな関連性はなく、ストレス下でも使命感を持って仕事に従事していたと示唆された。