第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演4群 精神看護①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場2 (303)

座長:田上 美千佳

[口演M-4-2] A 病院医療観察法病棟看護師が役割遂行上直面する問題

山口 洋子1, 吉野 綾子1, 垣上 正裕2, 小西 美里2 (1.群馬県立精神医療センター, 2.群馬県立県民健康科学大学)

Keywords:医療観察法、役割、看護師、問題

【抄録】
【目的】A 病院医療観察法病棟の看護師が役割遂行上直面する問題を明らかにする。さらに、その特徴を考察することで問題解決に向けた示唆を得ることを可能にする。【方法】A病院医療観察法病棟に勤務経験のある看護師を対象とし、看護師が役割遂行上直面している問題を問う自由回答式質問紙を用いデータ収集した。質問紙は無記名とし、留め置き法を用い匿名性を確保した。デ―タ収集は、2019 年8 月に実施した。分析には、Berelson,B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析の方法を用いた。【結果】対象者49 名の年齢は20 代から50 代と様々であり、平均38.9 歳であった。医療観察法病棟の経験年数は、1 年未満の者が10.2%、1 年~ 3 年未満57.1%、3 年~ 5 年未満26.5%、5 年以上6%であった。対象者から得た196 記録単位を分析した結果、〔治療反応性の乏しい対象者への陰性感情を抱えながら業務にあたらねばならない〕〔ガイドライン上の規約により対象者の要求に柔軟かつ迅速に対応できない〕〔書類作成など看護師としての専門外の事務業務が多い〕〔MDT 以外は対象者に十分な対応ができない〕〔充実した治療やアメニティを体験した対象者が退院先への移行を拒否する〕〔業務日程に自身の生活の調整を余儀なくされる〕など、医療観察法病棟の看護師が役割遂行上直面する問題を表す26 カテゴリを明らかにした。Scott.W.A の式に基づき算出した看護研究者2名によるカテゴリへの一致率は70%以上を確保した。【考察】考察の結果、医療観察法病棟の看護師が役割遂行上直面する問題を表す26 カテゴリが、<看護師が対象者に対する医療観察法の適用に疑問を抱く><対象者のニードに応じる際に入院処遇ガイドラインに基づく手続きを経る必要性がある><医療観察法病棟特有の業務経験によりこれまで構築した看護師としての職業アイデンティが揺らぐ>< MDT の活動が周囲から見えにくい><医療観察法病棟の手厚い看護や充実したアメニティの経験が対象者の社会復帰への意欲を阻害する><対象者毎にMDT メンバーが固定されている>など19 の特徴を持つことが示唆された。