第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演40群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理②~

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場5 (103)

座長:植田 みゆき

[口演M-40-3] 新型コロナウイルス感染症対応を行う看護師への影響

長岡 千絵, 小倉 進也, 川人 美鈴 (徳島県立中央病院)

Keywords:新型コロナウイルス、支援の方向性、看護師

【抄録】
【目的】A 病院は新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを行っており、綿密な感染予防策の策定、ガイドラインを参考とした勤務形態の立案や病床コントロールが行われている。このことは、ベッドサイドで新型コロナウイルス感染症対応を行う看護師に何らかの影響が及ぶと考えられ、医療の質にも影響が及ぶことが懸念される。そこで、アンケート調査を基に、A 病院における新型コロナウイルス感染症対応が看護師に与える影響を明らかにし、看護師への支援の方向性を検討することで、医療の質を担保するための一助としたいと考えた。【方法】A 病院に勤務する看護師367 名を対象に、独自に作成したアンケートを使用した。データ分析は、新型コロナウイルス対応部署(以下、該当部署)とそれ以外の部署で分類した。統計処理には、SPSS Ver.27 を用い主因子法・Promax 回転による因子分析を行った。該当部署とそれ以外の部署での相関関係の有無を検討し、部署別の得点差でt 検定を行い、統計学的有意水準は5%とし有意差の検討を行った。また、本研究はA 病院の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】アンケート回収率58.3%、有効回答率88.3% であった。アンケートの回答について因子分析を行った結果、3 因子構造となりそれぞれのα係数は0.69 ~ 0.89 であった。因子分析の結果から、第1 因子を「身体的な疲労」、第2 因子を「負の感情」、第3 因子を「仕事への責務」とそれぞれ命名した。その後、部署別で各因子の相関関係の有無を検討したところ、3 因子すべてにおいて、それ以外の部署が有意な結果となった。【考察】「身体的な疲労」とは、疲労感や仕事量の増加、身体的な不調であり、新型コロナウイルス感染症対応を行う看護師には、セルフケアだけではなく組織からのラインによるケアの支援が重要である。「負の感情」とは、不安や恐怖感などの感情であり、看護師が業務に専念するためには、組織がメンタルサポートを行う体制を早期から充実させることが必要であると考える。「仕事への責務」とは、職場や職務に関する肯定的な感情、働きやすさや業務を行う上で安心感を持てることであり、これには早期に組織の基盤に沿ったマニュアルを整える必要があると考える。