第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演42群 安全・安楽への支援

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM 口演会場6 (104)

座長:殿谷 淳子

[口演M-42-1] 救命救急センターにおける、仙骨部の褥瘡発生要因

千葉 里美 (東京都立墨東病院)

Keywords:集中治療室、褥瘡予防、褥瘡、仙骨部

【抄録】
【目的】A 病院救命救急センター(以下救命センター)で発生した仙骨部の褥瘡について、先行文献より明らかになっている発生要因のうち、褥瘡発生に繋がっている要因の組み合わせと、どの要因に焦点をあてケアが行うべきかを明確にする。【方法】倫理的配慮は、所属施設の倫理委員会看護部会で承認を得て実施した。研究デザインは調査研究。2016 年4月~ 2021 年3 月の間に救命センターに入院し、入院後14 日以内に仙骨部に褥瘡発生した25 名が対象。電子カルテから、検査値、薬剤、排泄状況、食事摂取状況、皮膚状態、看護ケアのデータを単純集計し、褥瘡発生要因の組み合わせの調査を行った。【結果】褥瘡発生要因は、25 名は2 時間毎の体位変換が困難であった。また、保湿ケアは23 名が不十分であった。検査データに関して、血清アルブミン低値24 名、ヘモグロビン低値17 名。排便状況に関して、排便あり16 名、そのうち15 名はブリストルスケール6 ~ 7 に該当した。薬剤は、鎮痛剤18 名、昇圧剤13 名、鎮静剤12 名。その他、仙骨部褥瘡以外のスキントラブル有り8 名、褥瘡発生日まで禁食3 名であった。【考察】同一体位による持続的圧迫と、低アルブミン血症による浮腫の出現によって血流障害が増悪する。加えて、保湿ケア不足による皮膚の柔軟性とバリア機能低下から、持続的圧迫による皮膚の損傷が改善できず、褥瘡発生へと至った可能性がある。また、ブリストルスケール6~ 7 程度の便が皮膚に付着していると、浸軟に伴う皮膚の脆弱化から損傷が起こりやすくなる。さらに、人工呼吸器使用患者は、鎮痛剤と鎮静剤を用いることが多い。鎮静による体動不能に伴う除圧不足と、昇圧剤使用により末梢循環不全が組み合わさり、褥瘡発生のリスクが高くなると考える。今後の予防ケアに向けて、2 時間毎に体位変換が困難な時は、介助補助手袋の使用による簡易的な除圧が有効である。排便に対しては、皮膚の浸軟を防ぐために、撥水性のある保湿剤を塗布することが挙げられる。保湿ケアでは、保湿剤を準備してもらうことが必要であり、塗布開始までにかかる時間を減少させる取り組みが必要である。さらに、医師と相談し昇圧剤の減量を行うことで末梢循環不全を軽減でき、これらが褥瘡発生リスクを低下させることに有用であると考える。