[口演M-42-2] 看護師が気管吸引前後に実施するアセスメントの実態
-気管吸引の適正化を目指して-
Keywords:気管吸引、人工呼吸器、アセスメント
【抄録】
【目的】人工呼吸器装着患者に対する気管吸引を適正化することを目的に、看護師が気管吸引前後に行っているアセスメントの内容を明らかにする。【方法】2021 年9 月~ 12 月に、A 病院救命救急センターの看護師42 名を対象に質問紙調査を行った。調査票は日本呼吸療法医学会の気管吸引ガイドライン2013 の「適応となる状態とそのアセスメント」、「効果測定のためのアセスメント」の項を参考に作成した。解析には、SPSSⓇ26 版を使用し、有意水準は0.05 とした。気管吸引前後のアセスメント内容を「身体診察で得られる情報」「モニタや検査で得られるデータ」「両方」「アセスメント無し」の4 つに分け、看護師歴、部署歴との関連をχ2 検定、フィッシャーの正確確率検定を用いて分析した。看護師歴、部署歴はパトリシア・ベナーのクリニカルラダーを参考に新人(1~ 3 年目)、中堅(4 ~ 9 年目)、ベテラン(10 年目以上)の3 つに分類した。本研究はA 病院看護部倫理委員会の承認を受けて実施した。研究対象者に対し、研究の主旨と方法、倫理的配慮について文書および口頭で説明し承諾を得た。【結果】42 名中41 名から461 件の回答を得た。気管吸引前の「アセスメント無し」の件数は127 件(27.5%)、気管吸引後の「アセスメント無し」の件数は44 件(9.5%)であった。気管吸引前のアセスメントと看護師歴の関連は、新人は「身体診察」のみ、中堅は「アセスメント無し」、ベテランは「両方」が有意(p<0.01)に多かった 。気管吸引前のアセスメントと部署歴の関連は、ベテランが「データ」のみが有意(p<0.01)に多かった。気管吸引後のアセスメントと看護師歴の関連は、新人が「身体診察」のみと「アセスメント無し」が有意(p<0.01)に多かった。気管吸引後のアセスメントと部署歴の関連は、新人は「身体診察」のみ、中堅は「アセスメント無し」、ベテランは「データ」のみが有意(p<0.01)に多かった。【考察】「アセスメント無し」が一定数存在するとともに、「身体診察」や「データ」のみの判断など、偏ったアセスメントが行われていることから、不必要な侵襲的処置が行われている可能性がある。看護師歴、部署歴に一貫した傾向は見られないため、経験に関わらず適切な気管吸引のためのアセスメントについて教育が必要である。
【目的】人工呼吸器装着患者に対する気管吸引を適正化することを目的に、看護師が気管吸引前後に行っているアセスメントの内容を明らかにする。【方法】2021 年9 月~ 12 月に、A 病院救命救急センターの看護師42 名を対象に質問紙調査を行った。調査票は日本呼吸療法医学会の気管吸引ガイドライン2013 の「適応となる状態とそのアセスメント」、「効果測定のためのアセスメント」の項を参考に作成した。解析には、SPSSⓇ26 版を使用し、有意水準は0.05 とした。気管吸引前後のアセスメント内容を「身体診察で得られる情報」「モニタや検査で得られるデータ」「両方」「アセスメント無し」の4 つに分け、看護師歴、部署歴との関連をχ2 検定、フィッシャーの正確確率検定を用いて分析した。看護師歴、部署歴はパトリシア・ベナーのクリニカルラダーを参考に新人(1~ 3 年目)、中堅(4 ~ 9 年目)、ベテラン(10 年目以上)の3 つに分類した。本研究はA 病院看護部倫理委員会の承認を受けて実施した。研究対象者に対し、研究の主旨と方法、倫理的配慮について文書および口頭で説明し承諾を得た。【結果】42 名中41 名から461 件の回答を得た。気管吸引前の「アセスメント無し」の件数は127 件(27.5%)、気管吸引後の「アセスメント無し」の件数は44 件(9.5%)であった。気管吸引前のアセスメントと看護師歴の関連は、新人は「身体診察」のみ、中堅は「アセスメント無し」、ベテランは「両方」が有意(p<0.01)に多かった 。気管吸引前のアセスメントと部署歴の関連は、ベテランが「データ」のみが有意(p<0.01)に多かった。気管吸引後のアセスメントと看護師歴の関連は、新人が「身体診察」のみと「アセスメント無し」が有意(p<0.01)に多かった。気管吸引後のアセスメントと部署歴の関連は、新人は「身体診察」のみ、中堅は「アセスメント無し」、ベテランは「データ」のみが有意(p<0.01)に多かった。【考察】「アセスメント無し」が一定数存在するとともに、「身体診察」や「データ」のみの判断など、偏ったアセスメントが行われていることから、不必要な侵襲的処置が行われている可能性がある。看護師歴、部署歴に一貫した傾向は見られないため、経験に関わらず適切な気管吸引のためのアセスメントについて教育が必要である。