[口演M-43-2] 60歳を過ぎても看護師が働き続けられる諸条件の検討
Keywords:定年後再就職、急性期病院、労働条件
【抄録】
【目的】看護師が60 歳を過ぎても働き続けられる諸条件を調査し、定年延長への対策を検討する基礎資料とする。【方法】首都圏にある300 ~ 1200 床の急性期病院を3 施設選択した。55 歳以上の看護師(以下スタッフ)と5 年以内に定年退職予定の看護管理者の計40 名に質問紙調査を行った。調査期間は2021 年11 月~ 12 月。質問紙の内容は「現在の仕事への考え」「再就職への考え」「労働条件について」など18 項目。倫理的配慮としてA 病院研究倫理委員会の承認を得た。研究対象者には文書で研究目的、無記名での記載と個人情報保護、自由意思による拒否の権利があることを説明し同意を得た。【結果】質問紙を60 名分配布し40 名から回答を得た。(有効回答率100%)対象者の背景は男性1 名、女性39 名、平均年齢は57.8 歳であり、管理者が27 名、スタッフが13 名だった。定年まで働く意欲は90%、定年後も働きたい意欲は70%だった。現在、仕事を続けている理由は「経済的理由:30%」が最も多かった。現在、仕事を辞めたいと回答した者の理由は「体力・気力の保持困難:69%」が最も多く、次に「健康上の理由:15%」だった。定年後に再就職を希望している者は67%おり、管理者の60%は「社会との繋がり」を、スタッフの92.3%が「経済面への不安」を理由にしていた。再就職先については、医療施設を選んだのは53%で、その中で病院を希望した者は19%だった。各施設を選択した理由は「労働時間・業務内容への配慮」「休暇が取りやすい」などの労働条件に関することが56%であった。【考察】対象者の働きたい意欲は一般的な高齢者と同水準にあった。定年までもしくは定年後も働き続ける動機は、他の調査等と同様に「経済的理由」が最も多く、定年後も労働条件に見合った給与を重視していることが推察された。スタッフの経済的な不安の要因は、管理者との賃金差や年金支給の開始時期などが要因となったと考えられた。また、管理者はアイデンティティを維持することが動機となっていると推察された。「仕事を辞めたい」及び「再就職先を選択した」理由は、心身への負担に関する内容が多く、働き続けることを阻害する要因は健康面への不安と推察された。そして、急性期病院は再就職先として選択されにくい状況であり、健康面に配慮した労働条件を整備する必要があることが示唆された。
【目的】看護師が60 歳を過ぎても働き続けられる諸条件を調査し、定年延長への対策を検討する基礎資料とする。【方法】首都圏にある300 ~ 1200 床の急性期病院を3 施設選択した。55 歳以上の看護師(以下スタッフ)と5 年以内に定年退職予定の看護管理者の計40 名に質問紙調査を行った。調査期間は2021 年11 月~ 12 月。質問紙の内容は「現在の仕事への考え」「再就職への考え」「労働条件について」など18 項目。倫理的配慮としてA 病院研究倫理委員会の承認を得た。研究対象者には文書で研究目的、無記名での記載と個人情報保護、自由意思による拒否の権利があることを説明し同意を得た。【結果】質問紙を60 名分配布し40 名から回答を得た。(有効回答率100%)対象者の背景は男性1 名、女性39 名、平均年齢は57.8 歳であり、管理者が27 名、スタッフが13 名だった。定年まで働く意欲は90%、定年後も働きたい意欲は70%だった。現在、仕事を続けている理由は「経済的理由:30%」が最も多かった。現在、仕事を辞めたいと回答した者の理由は「体力・気力の保持困難:69%」が最も多く、次に「健康上の理由:15%」だった。定年後に再就職を希望している者は67%おり、管理者の60%は「社会との繋がり」を、スタッフの92.3%が「経済面への不安」を理由にしていた。再就職先については、医療施設を選んだのは53%で、その中で病院を希望した者は19%だった。各施設を選択した理由は「労働時間・業務内容への配慮」「休暇が取りやすい」などの労働条件に関することが56%であった。【考察】対象者の働きたい意欲は一般的な高齢者と同水準にあった。定年までもしくは定年後も働き続ける動機は、他の調査等と同様に「経済的理由」が最も多く、定年後も労働条件に見合った給与を重視していることが推察された。スタッフの経済的な不安の要因は、管理者との賃金差や年金支給の開始時期などが要因となったと考えられた。また、管理者はアイデンティティを維持することが動機となっていると推察された。「仕事を辞めたい」及び「再就職先を選択した」理由は、心身への負担に関する内容が多く、働き続けることを阻害する要因は健康面への不安と推察された。そして、急性期病院は再就職先として選択されにくい状況であり、健康面に配慮した労働条件を整備する必要があることが示唆された。