第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演44群 ヘルシーワークプレイス②

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場6 (104)

座長:成田 康子

[口演M-44-3] 「ノー残業デー」に対する病棟看護師の思い

齊藤 千咲季, 遠藤 杏美, 梅田 真弓, 木村 季代子 (埼玉県立がんセンター)

Keywords:看護師、時間外労働、ノー残業デー

【抄録】
【目的】A 病院では時間外労働削減を目標に、各病棟でノー残業デーの取り組みを行っているが、B 病棟では業務が圧迫され継続困難となり現在は実施できていない。本研究においてノー残業デーに対する病棟看護師の思いを明らかにすることによって、より良い時間外労働削減への取り組みについての示唆を得る。【方法】B 病棟常勤看護師22 名のうちノー残業デーを経験した11 名に半構造化インタビューを実施した。逐語録を作成し、ノー残業デーに対する思いに関する内容を、コード化、カテゴリー化した。参加者には口頭及び文書で同意を得た上でインタビューを実施し、得られたデータは、個人が特定されないよう番号で管理する等の配慮を行った。【結果】ノー残業デーに対する病棟看護師の思いから59 のコードが抽出された。それらは≪体力的な余裕ができた≫≪気持ちが安らいだ≫≪充実した余暇時間を過ごすことができた≫≪効率よく仕事を終わらせようとやる気が出た≫≪他スタッフが気にかけてくれてうれしい≫≪スタッフ同士での助け合いの気持ちが生まれた≫≪ノー残業デー者として周囲に負担がかかることに申し訳なさを感じる≫≪ノー残業デー者を配慮することにストレスを感じる≫≪ノー残業デーに対する認識のずれがある≫≪リーダーとして受け持ち患者を決めることにプレッシャーを感じた≫≪当日の業務の配分に不平等を感じる≫の11 カテゴリーが抽出された。【考察】ノー残業デー者は業務が配慮され、気遣われることで、≪効率よく仕事を終わらせようとやる気が出た≫などポジティブな思いを体験していた。一方で、ノー残業デー者以外のスタッフの業務に負担がかかる状況に対して、負い目やストレスを感じるといったネガティブな思いを体験していた。ポジティブな思いとネガティブな思いが表裏一体となりやすい状況があった。ノー残業デーの再開においては、ネガティブな体験をポジティブな体験に転換できる工夫、例えば業務を1 人で抱え込まないようスタッフ皆で残務をリシャッフルするなどの体制整備が必要である。このことにより、互いに気遣う、助け合うといったポジティブな側面の強化に繋がると考える。また、再開においては、全スタッフでノー残業デーの目的・目標を共有し、共通認識を持つこと、ノー残業デー者の業務基準を作成し、PDCA サイクルを適切に回す必要がある。