第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演45群 早期離床・疼痛緩和

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場7 (105)

座長:阿久津 美代

[口演M-45-1] 救急外来看護師における苦痛緩和を目的としたケア意識の向上への取組み

藤野 美香, 大木 琢椰, 清水 倫子 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:苦痛緩和、ディスカッション、コンピテンシー

【抄録】
【目的】救急外来において,患者,家族への苦痛緩和に向けたケアでコンピテンシー・レベルの高い看護師(以下優れた看護師とする)のケアを明らかにして,看護師間で共有,ディスカッションすることで意識向上を図る。【方法】令和2 年9 月から1 年間,看護師11 名を対象に取り組んだ。苦痛緩和のケアに対する意識調査(以下意識調査とする)を14 項目で独自に作成した。内容は『症状緩和ケア』『患者への声かけ』『家族への関わり』とした。評価は5 段階評定尺度(1点:できていないことが多い~ 5 点:常にできている)とし,自己と部署全体の評価とした。1 回目の意識調査を行うと共に,苦痛緩和のケアで優れた看護師の名前と場面を記載してもらった。そこで名前の多く挙がった4 名の優れた看護師に15 分程度の半構成的面接法でインタビューを個別に実施した。その内容をもとに,優れた看護師のコンピテンシーをまとめたファイル(以下スゴ技集とする)を作成した。スゴ技集を対象者に熟読してもらい,研究者を含む4,5 名でディスカッションを15 分程度行った(以下介入とする)。介入9 ヶ月後に自由記載欄を設け,2 回目の意識調査を行った。分析はウィルコクソンの符号付順位和検定を用いた。本研究は研究者の所属する施設の看護部倫理委員会で承認を得た。【結果】意識調査は,自己および部署全体の評価において全項目が有意に上昇した(p < 0.001,p < 0.01、p < 0.05)。介入後の意見として「共有できたことで意識が高まった」「良い所を真似ていきたいと思った」などがあった。【考察】意識調査では,介入後自己および部署全体の評価において全項目で有意に上昇した。これは介入により患者のニードや家族の不安を再認識でき,看護師が自分のケアだけでなく部署全体を振り返り,目指す看護が明確になり,さらにケアの質向上への意欲に繋がったためと考える。今回優れた看護師のケアを意図や目的に基づいてスゴ技集を作成したことで,優れた部分が可視化され,共有することができた。さらにディスカッションでより理解を深めることができ,行動への意識づけとなり,実践に繋がりやすかったと推察する。また,症状緩和だけでなく,声かけによる精神面でのケアや家族を含めたケアの重要性を理解でき,救急外来における苦痛緩和のケアの重要性を再認識できたことでケア意識の向上に繋がった。