第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演45群 早期離床・疼痛緩和

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場7 (105)

座長:阿久津 美代

[口演M-45-4] 離床パンフレット改訂前後の患者の意欲の変化と行動の変化

永尾 由樹子1, 新庄 有希1, 大山 凌輔1, 福山 雄三1, 小谷 英太郎1, 岸 学2 (1.日本医科大学多摩永山病院, 2.東京学芸大学)

Keywords:早期離床、高齢者、手術前オリエンテーション、消化器外科

【抄録】
【目的】早期離床の大切さが言われているが、患者の回復意欲により離床への行動が移せないことがある。そのため回復意欲を高めて患者が離床を積極的に行えるオリエンテーション(以下オリ)が必要と考えた。従来のパンフレット(以下パンフ)の説明は安静度に関する項目のみで、看護師の説明にばらつきがあった。そこで手術前オリ時に改訂したパンフを使用し、早期離床のメリットに特化した説明を行う。それにより患者の早期離床への意欲が変化し、実際に離床できるまでの期間が短縮するかを明らかにする。【方法】1. 対象A病棟に令和3 年に消化器外科手術を受ける目的で入院した65 歳以上の患者。2. 研究デザイン:量的記述研究3. 自記式質問調査票:早期離床に対する患者の意欲に関するアンケートを独自に作成。項目に手術後1 ~ 3 日目を対象とした早期離床への意欲の程度を6 段階で自己評定してもらった。(以下意欲スケール) 4. 調査の実施 1 手術前オリで使用するパンフを合併症予防など早期離床のメリットに特化したものに改訂。2 改訂後は早期離床の各合併症予防の効果を説明するよう統一し、パンフは患者の目に触れやすいテーブルに貼った。3 改訂前の患者は既に退院している患者を対象として外来受診時に、改定後の患者は退院時に、それぞれ同内容の無記名質問用紙を用いて調査。4 意欲の指標として意欲スケールで得られたリッカート尺度を点数化し比較。患者の行動の変化の指標として、看護必要度の「移乗」の項目から全介助から一部介助までの日数を平均化し比較。5 データ分析方法:意欲スケールの点数はマン・ホイットニーのU 検定、看護必要度のデータはt 検定にて比較。5)倫理的配慮:所属施設の倫理委員会で承認を得た。【結果】改訂前は33 名中31 名、改訂後は22 名中22 名が回答。意欲スケールは手術2 日目の患者で改訂前で4.1 点、改訂後で3.3 点、U = 187、p< 0.05水準で有意な順位差がみられた。しかし患者の行動の変化の指標は改訂前8.5 日、改訂後8.8 日、p > 0.05 で有意な順位差がみられなかった。【考察】改訂後の患者の方が意欲の高まりがみられパンフの活用は離床への意欲を高めるのに有効であった。しかし、行動の変化では離床できるまでの期間が短縮せず有意差も見られなかった。その要因として、疼痛やドレーンの留置などの阻害因子があったのではないかと考えられる。