第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演46群 看護管理~効率的で質の高い看護に向けた取り組み~

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM 口演会場7 (105)

座長:網川 敏

[口演M-46-3] 輸液ポンプの警報情報をナースコールシステム及び看護師の携帯情報端末に可視化して得た業務上の効果の明確化

嶋田 恭子, 五十嵐 行江, 伊藤 幸子, 伊藤 真由美, 坂谷 真由 (福井大学医学部附属病院)

Keywords:輸液ポンプ、警報、可視化

【抄録】
【目的】輸液ポンプの警報情報とナースコールシステムを連動し、警報の可視化による業務上の効果を明らかにする。【方法】調査対象:2021 年5 月からテルモ社テルフュージョン輸液ポンプ(TE-LM835A)(以下、ポンプ)の警報情報とケアコム社ナースコールシステム(NICSS-R8)を連動したA病院A 部署。ポンプの警報情報は、「ドア警報」「バッテリー低下」「開始忘れ」「完了警報」「気泡混入」「残量」「下流閉塞警報」「上流閉塞警報」の8 種類。ポンプの警報情報は看護師の携帯情報端末に通知する。調査内容:2021 年5 月~12 月の全ナースコール件数及び携帯情報端末で受けたポンプの警報数(種類別)を単純集計する。2021 年1 月~ 12 月のA 部署とA 病院全体の月別ナースコール件数・応答時間を単純集計し、ポンプの警報情報とナースコールシステムの連動前後で比較する。【結果】2021 年5 月~ 12 月のA 部署のナースコール件数は98238 件、そのうちポンプからの通知件数は16617 件だった。「ドア警報」191 件、「バッテリー低下」213 件、「開始忘れ」732 件、「完了警報」3810 件、「気泡混入」794 件、「残量」6418 件、「下流閉塞警報」4440 件、「上流閉塞警報」19 件だった。2021 年1 月~ 12 月のA 部署のナースコール件数は128931 件、病院全体平均は115844 件だった。連動前後の患者応答時間は1 月~ 4 月は平均8.8 秒、5 月~ 12 月は平均9.0 秒と変化はなかった。病院平均10.1 秒だった。【考察】IoT の普及・進展は、業務の遂行を支援するものないし業務の一部を代替えするものである1)。A 病棟では、ポンプの「閉塞」「気泡混入」「完了」などの警報を携帯情報端末で可視化できた。「残量」件数より「完了警報」件数が少ないことは、看護師が輸液管理業務を予測対応していると推察する。連動前は患者がポンプの警報を聞いてナースコールを押していた。つまり「残量」と「完了警報」の差は、患者がナースコールを押さずに済んだ件数であり、看護師が先取り対応できたものと言える。また、多忙な看護業務の中、看護師は患者応答時間が遅延することなく、警報情報の可視化という新しい出来事にも順応できた。警報の可視化による看護師の行動変容への効果は、今後さらに検証が必要である。