第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演46群 看護管理~効率的で質の高い看護に向けた取り組み~

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM 口演会場7 (105)

座長:網川 敏

[口演M-46-4] 短期の異動がスタッフへ与えた影響に関する報告

-自部署に戻ることを前提とした異動経験によるポジティブシンキング-

青山 理絵, 井上 佳央理, 立松 あき, 久米 夕香子, 木下 美穂 (日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)

Keywords:COVID-19、部署異動、実践報告、ポジティブシンキング

【抄録】
【目的】A 病院では感染症指定医療機関としてCOVID-19 患者の受け入れのため、一病棟を40 日間閉鎖することで人材確保を行った。B 病棟もそのうちの一つとして病棟を閉鎖し、所属する看護師25 名は、COVID-19 病棟を含む8つの病棟へ異動することになった。異動は個人にとってストレスになり得るが、この異動をチャンスと考えポジティブに捉えることができた過程を明らかにしたので報告する。【方法】部署異動前、急な部署異動に戸惑うスタッフに対し、病棟の中間管理者から「この機会を活用して新しいことを吸収しよう」という考え方を発信した。部署異動終了後の25 名に対し、個人情報保護に留意し無記名・自記式アンケートを行った。アンケートは、ポジティブな側面のみに焦点を当てた内容とし、1 異動先の良かったところ2B 病棟でも取り入れたいこと3 離れて気づいたB 病棟の魅力、の3設問で構成し自由記載とした。参加は対象者の自由意思とし、回答をもって同意とした。リーダー役割を担う看護師でアンケート結果内容をまとめ、それをスタッフへ提示し意見や気づきの共有を図った。【結果】アンケートの回収率は100%であった。このうち64%は異動未経験者であった。「今までの知識や技術は場所が変わっても活かすことができると分かり、自分の自信へと繋がった」「もっと勉強しよう」といった新たな気づきと意欲の向上を示す意見が多かった。残り36%のスタッフからは「自部署は疑問を声に出しやすい」「自分の居場所があることの大切さを改めて感じた」といった人間関係についての意見が多かった。この結果を踏まえて、スタッフの間から自部署の業務改善に取り組みたいという意見が出たため、業務改善に取り組むことになった。【考察】短期の部署異動は、今まで積んできた自分の経験が無駄ではなかったと感じる一方で、まだ知らない世界があることを知り学習意欲の高まりを感じる機会となった。同時に、気心の知れた仲間と一緒に働ける自分の居場所の大切さにも気づくきっかけとなった。個々の看護実践能力に合わせた役割を異動先で任されたことは、個人の承認となり、それが前向きな感情へと繋がった。そして、異動先での学びを活かしたい、自分の居場所をより良くしたいというポジティブな感情が芽生えたと考える。このポジティブな感情が、より良い環境作りへの意識改革へと繋がっていくことが示唆された。