第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演47群 看護教育~新型コロナウイルス感染症下の新人教育~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場7 (105)

座長:栁澤 節子

[口演M-47-1] 中規模病院におけるコロナ禍の新人看護師のリアリティショック軽減策

-ポジティブなギャップに焦点をあてて-

加藤 久美子1, 板垣 由香1, 佐野 智美1, 石塚 真美2 (1.玄々堂君津病院, 2.淑徳大学看護栄養学部看護学科)

Keywords:中規模病院、シャドウイング、コロナ禍の新人看護師、リアリティショック、+(ポジティブ)なギャップ

【抄録】
【目的】中規模急性期A 病院で入職時に実施した“ 看護シャドウイング研修”(以下= 研修)によるコロナ禍の新人看護師(以下= 新人)のリアリティショック軽減の効果を明らかにする。【方法】2021 年度入職時1 か月間、新人13 名を対象に看護現場を理解することを目標とした研修を実施した。配属部署以外の一般病棟で、指導者の思考発話によるシャドウイング、清潔ケアと検温の参加、日々の記録と振り返り、2 年生参加による週1 回の全体共有を実施した。同意が得られた新人に対し、入職1 か月、5 か月の時点で無記名自記式質問紙調査を実施した。設問は、<実習不足に不安はあったか><社会人・チームの一員として自覚し仕事ができているか><その状態に研修は役に立ったか>等の他、岡本のリアリティショック尺度6 項目「新人教育」「看護実践」「生活の変化」「人間関係」「患者・家族との関係」「就職後の満足感」を参考にして<現在の「新人教育」は入職前の自分の予測とズレ(ギャップ)があったか>の設問を独自に作成し、スケールを用いた選択回答とした。回答は単純集計し、2 点の変化を検討した。本研究はA 病院倫理委員会の承認を受け実施した。【結果】83%が実習不足が不安だったと回答した。5 か月調査では、「新人教育」「看護実践」「人間関係」では、+なギャップがギャップなし及び-なギャップを上回り、1 か月調査より13 ~ 37%上昇した。理由は、色々な研修があり嬉しい、不安はあるができることが少しずつ増えている、先輩が優しい等であった。また、全回答者が人間関係に対処して社会人として行動できており、95.5%が研修は現場の実践に役立ったと回答した。「生活の変化」は72.7%が-なギャップであり、食事を摂らない日が増えた、想像を超える忙しさ、疲れて勉強ができない等が理由だった。【考察】研修部署でのシャドウイングは心理的負担が少なく、知識と実践が結びつきやすいと考えた。また、ふり返りと共有で状況認識が促進されると推察した。コロナ禍の新人にとって研修は、社会でのふるまいを学び、生活を整える期間としても機能している。研修で派生した+なギャップが新人の頑張る気持ちを支え、少なくとも入職5 か月の期間までのリアリティショック軽減の効果が示唆された。+なギャップは自施設の強みとし、「生活の変化」に対処できる検討を踏まえた入職時研修の構築が課題である。