第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演48群 看護教育~新人教育~

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 口演会場7 (105)

座長:春木 邦惠

[口演M-48-1] 新人看護職員の採血研修担当者が感じる楽しさの要素

船寄 真代1, 上本 和美1, 村田 紀子1, 松浦 純平2 (1.奈良県総合医療センター, 2.奈良学園大学)

キーワード:新人看護職員研修、楽しさ、採血研修担当者、事前準備、協力し合える関係性

【抄録】
【目的】看護職員研修を企画運営することは担当者にとって負担も大きい。しかし、今年度実施した新人看護職員対象の採血研修において、研修担当者から「楽しく研修を実施することができた」との声がきかれた。採血研修担当者が研修を楽しいと思ったその理由は何か、これまでの研修と比較し、その要素を明らかにする。【方法】ARCS 動機づけモデルに基づいたインタビューガイドを作成し、①今年度の採血研修、及び②これまでに経験した研修のそれぞれについて、楽しいと思ったことを、採血研修を企画担当した主任看護師4 名、指導を担当した主任看護師4 名に対し、半構造化面接を実施し、質的に分析した。なお、本研究は研究施設の倫理審査で承認を得ている。【結果】①について引き出されたコード数は178 で、カテゴリーはコード数の多い順から《協力し合える関係性》《研修内容の工夫》《新人看護職員との関わり》《事前準備》《指導者の力量発揮》《指導者の喜び》《達成感》《満足感》《企画者の不安感》《楽しさの未発見》の10 項目であった。②についてはコード数は80 で、カテゴリーはコード数の多い順から《研修内容の工夫》《受講生との関わり》《達成感》《指導者の喜び》《指導者の力量発揮》《協力し合える関係性》《満足感》《事前準備》《指導者の願望》《企画者の不安感》の10 項目であった。①と②を比較し大きな差異を認めたのは《事前準備》と《協力し合える関係性》で、コード数に顕著な差が認められた。【考察】《事前準備》についてID の「ADDIEモデル」を参照する。まず昨年度の課題を「分析」した。オンラインと少人数演習を組み合わせた研修を「設計」した。講義・試験・評価表を「開発」し「実施」後「評価」を行った。何度も話し合い十分な準備をした上で、研修を開催できたことが「楽しかった」と思える要因に繋がった。更に《協力し合える関係性》について、ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」を参照する。担当者は対話を重ね「関係の質」が高まり、気づきが共有され「思考の質」「行動の質」が上がり「結果の質」に繋がり「好循環サイクル」を回し続けることができた。良好な関係の下で話し合いを繰り返し、担当者同士の関係の質が一段と深まり研修そのものを楽しいと感じる結果となった。十分な事前準備と協力し合える関係性が、これまでの研修と異なった「楽しさの要素」であったと考えられる。