第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演48群 看護教育~新人教育~

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場7 (105)

座長:春木 邦惠

[口演M-48-4] NICU に配属された新卒助産師のキャリアに関する研究

野浪 裕子, 古賀 仁美, 青木 摩美, 蘆田 怜 (大津赤十字病院)

Keywords:NICU、新卒助産師、キャリア、職業的アイデンティティ

【抄録】
【目的】新卒助産師がNICU 配属を自身の職業的アイデンティティとの関連でどのように意味づけているかを明らかにする【方法】研究デザインは質的帰納的研究である。研究対象者は令和X 年にA 総合周産期センターのNICU に配属された新卒助産師4 名で、就職後1 年目に半構造化面接を実施した。インタビューガイドを作成し、直属の上司や指導者でないものが担当し、研究参加者の許可を得て録音した。分析方法は、逐語録を作成し、丹念に読み込み研究目的に沿った文脈を抽出した。意味内容の共通項目ごとにコード化し、共通事項ごとにサブカテゴリーとして命名、さらにそれを抽象化しカテゴリーとした。それらを共同研究者が確認し分析結果の信頼性と妥当性をはかった。本研究は大津赤十字病院看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2020-4)。【結果】分析の結果4 つのカテゴリーと10 のサブカテゴリーを抽出した。カテゴリー≪ 1. 助産師としての葛藤≫では<助産業務に携われないことへの焦り><看護師と助産師の違いを認識する><助産師としての現実の自分と向き合う>、カテゴリー≪ 2. 看護実践からの学び≫では<異常新生児看護への自信><親子関係障害リスクに直面する><自己の成長で満足感を得る>、カテゴリー≪ 3. 役割モデルの影響≫では< NICU 看護の高い専門性を認識する><先輩助産師の経歴や語りからの学び>、カテゴリー≪ 4. 助産師観の変化と今後のキャリア展望≫では<助産師観の変化><助産師としての自己の課題を発見する>のサブカテゴリーを抽出した。【考察】NICU 配属は新卒助産師にとって職業的アイデンティティの揺らぎとなっていた。しかし看護実践からの学びや役割モデルの影響により、自己の助産師観を再構築し、今後の助産師としてのキャリア展望を描いていた。キャリアの危機となる可能性もあり、助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)と関連づけた意図的な教育支援や役割モデルを活用したサポート体制の構築が必要であることが示唆された。