第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演5群 精神看護②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場2 (303)

座長:鈴木 美央

[口演M-5-1] A病院精神科神経科看護師における倫理的行動に関する研究

-倫理的感受性との関連-

林田 美保, 染 しおり (長崎大学病院)

Keywords:精神科看護師、倫理的感受性、倫理的行動

【抄録】
【目的】精神科神経科患者の病状変化は著しいため、看護師は倫理的葛藤を多く抱えながら対応している現状がある。本研究において、精神科神経科に勤務する看護師の倫理的行動と倫理的感受性および個人背景との関連を明確にする。【方法】A 病院精神科神経科病棟看護師20 名と精神科神経科病棟所属歴がある看護師22 名の計 42 名を対象に、無記名自記式質問紙調査法で行った。調査内容は、基本属性を聴取し、前田らにより開発された「道徳的感受性質問紙日本語版2018(J-MSQ2018)」、大出が開発した「看護師の倫理的行動尺度改訂版」を使用した。分析方法は、 倫理的行動尺度改訂版と道徳的感受性質問紙関連をピアソンの相関係数、倫理的行動尺度と基本属性との関連はスピアマンの順位相関係数を算出した。統計学的分析にはSPSS 21.0 を使用し、有意水準は5%未満とした。【結果】42 名に調査票を配布し、不完全回答を除いた33 名を分析の対象とした。対象者の属性では、看護師経験年数は20 年以上が9 名(37.3%)、精神科神経科経験年数は3 年未満が14 名(42.4%)、最終看護教育課程では、看護師養成所3 年課程の18 名(54.5%)が最も多かった。倫理的行動との関連では、倫理的行動尺度改訂版と道徳的感受性質問紙の「私は患者の思いをキャッチしてよく気づけるほうなので、それがいつも自分の仕事に役立っている」の項目のみに有意に関連していた(r=0.35,p=0.049)。【考察】精神科神経科の看護師は、患者の表情や口調、行動で思いを判断し、日々の業務に従事している。また、自傷行為、自殺企図等の精神科看護特有のリスク管理が重要である。精神科看護の独自性が倫理的行動と「私は患者の思いをキャッチしてよく気づけるほうなので、それがいつも自分の仕事に役立っている」の項目に関連したと推察する。A 病院は総合病院であり、看護師が一定時期に異動するため、精神科神経科経験年数10 年未満の看護師が90% 以上で構成されている。しかしながら、看護師経験年数10 年以上の割合が70.7% を占めており、看護師経験が高い集団であったことが倫理的行動にも影響した可能性がある。また、入職時より組織的に倫理向上のための教育や、委員会活動、部署内カンファレンスなどで取り組みを行っていることも、影響していると考える。