第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演6群 自立を目指した日常生活の援助

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場2 (303)

座長:長坂 奎英

[口演M-6-1] 水溶性食物繊維摂取による排便への影響

-グアーガム分解物を投与して-

中田 智子1, 畝 政子1, 森 一海1, 表 香寿美1, 水上 紀子2, 森田 亜希子2, 才田 悦子1 (1.千木病院介護医療院, 2.千木病院看護部)

キーワード:慢性便秘、ブリストルスケール、水溶性食物繊維(グアーガム分解物)

【抄録】
【目的】A 介護医療院(以下A)では、入所者52 名の内24名が経口摂取者で全員が慢性便秘者である。24 名の半数が毎日下剤を服用し22 名が便秘時に下剤や座薬等の処置を受けているが、摘便行為に強い抵抗を示すなど対応困難な事例が多くあった。そこで私達は便秘ケアの改善を目指して、「グアーガム分解物(PHGG)が軟便にも硬便にも効果がある」という文献を基にA の食物繊維摂取量を調べたら、厚生労働省推奨量の7 割であった。今回PHGG7.2g を1 日1 回投与して排便状態の変化を観察した。【方法】1.研究期間:PHGG 摂取前1 ヶ月から摂取後3 ヶ月 2.研究対象:経口摂取をしている入所者24 名 3.調査方法:1)PHGG 1人分7.2g をお茶に混ぜて夕食時に投与 2)排便日誌に排便状況、下剤投与量を記入し摂取前後で比較する 3)便の性状はブリストルスケール(BSS)を使用し便量は1 回量便をバナナ1 本分それ以下を少量便とした。倫理的配慮:千木病院倫理委員会での承認を得た上で個人情報の保護、調査時の匿名化、データ管理を行い、発表の際には個人が特定されないよう配慮した。【結果】1.全体の便性状では、BSS4 の少量便は回数が減少したが、1 回量便は増えた。BSS5 の便は少量便、1 回量便共に増えた。2.下剤を服用していない人はBSS4の1 回量便が増えたが、定期的に下剤を服用している人は、BSS5 の排便回数が増えた。3.下剤投与量の推移は、浸透圧性下剤・上皮機能変容薬ではわずかに減少し、便秘処置用大腸刺激性下剤(液体下剤)が減少した【考察】1.全体的に少量便より1 回量便の排便回数が多かったが、個別の下剤服用が考慮されていない平均値で比較したためと考える。2.下剤を服用していない人は元々BSS4 の便を排泄する人が多くPHGG を摂取するだけで1 回量便が増えたと考える。一方下剤服用者は全員が浸透圧性下剤等を服用しており、PHGGの作用で便が更に緩くなったと考える。3.PHGG の効果は浸透圧性下剤や上皮機能変容薬と同様であるが、PHGG が軟便にも作用したことにより腸内の水分量が調整されて下痢には傾かず、下剤を減少させる必要がなかったと考える。液体下剤が減少したことは、便処置を医師の指示により看護師が実施していたため、タイムリーに調整できた結果として下剤の投与量が減少したと考える。