第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演6群 自立を目指した日常生活の援助

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場2 (303)

座長:長坂 奎英

[口演M-6-2] 携帯型超音波装置を使用した尿道留置カテーテル離脱

-長期療養患者への留置率の低下に向けた介入-

竹内 順子, 高橋 千鶴子, 居上 優香 (札幌南一条病院)

Keywords:尿道留置カテーテル、携帯型超音波装置、尿道留置カテーテル離脱、残尿測定

【抄録】
【目的】急性期病院では尿道留置カテーテルを挿入する事が多く、A 病院には退院困難で療養目的のため尿道留置カテーテルが留置された状態で転入してくる患者が多い。長期留置は尿路感染症のリスクが高いが、挿入の経緯が不明なことから離脱が困難な現状があった。そこで携帯型超音波装置を使用して、尿道留置カテーテル抜去後の残尿量や蓄尿量を経時的に可視化して観察を行い、尿道留置カテーテルの使用を減らすことが可能であるかを検証する。【方法】研究デザインは尿道留置カテーテル抜去に向けた介入研究で、対象はA病院に2021 年7 月から2022 年2 月に尿道留置カテーテル挿入中の入院患者とした。看護部の排泄ワーキンググループで挿入の経緯等を確認し、主治医と情報共有してから尿道カテーテルを抜去。抜去後に残尿・畜尿量を携帯型超音波装置を使用して経時的に観察して再挿入の必要性の有無を検討し、調査期間中の留置率の変化を検証した。携帯型超音波装置はFUJI FILM 社製の「iViz air」を使用した。研究は院内倫理委員会の承認を得てから実施し、患者が特定されないよう数値化して使用した。【結果】期間中に尿道留置カテーテル挿入されていた患者は66 名であり、前医で尿道カテーテルが挿入されていた患者は35 名、A 病院で留置した患者は31 名であった。尿道留置カテーテルを抜去後に、携帯型超音波装置を使用して残尿が少ないことを確認し離脱できた症例は27 名、尿閉や残尿が多く離脱困難で挿入中の患者は13 名であった。活動を始める前の尿道留置カテーテル挿入率は13.96%であったが、2 月には10.88%まで減少できた。【考察】尿道留置カテーテルの挿入が必要となる患者は、厳密な尿量測定が必要であったり、安静が必要な患者の場合には入院中の患者に挿入することがある。しかし、前医から挿入されている患者の場合には、挿入の理由が明確では無いことも多い現状があった。排泄ワーキンググループで各部署の尿道留置カテーテル留置患者の必要性を検討し、必要性が明確ではなかった患者に対して計画的に抜去し、その後の排尿量の測定および膀胱内の残尿測定等を実施することで、尿閉や溢流性尿失禁を把握することができた。残尿を数値だけでは無く、エコーの画像として医師と共有することもできたため、携帯型超音波装置を利用した残尿測定は尿道留置カテーテルの離脱に有用であった。