[口演M-8-4] 化学療法による口腔粘膜炎Grade 3 に対応する看護師への支援
-病棟看護師のタイムリーな口腔ケアの構築を目指して-
キーワード:化学療法、口腔ケア、口腔粘膜炎Grade 3、病棟看護師
【抄録】
【目的】口腔粘膜炎は殺細胞性抗癌剤の代表的副作用であり、特に消化器がんにおいてはフッ化ピリミジン系製剤を含むレジメンにより重篤化し、治療延期を余儀なくされることもあり、速やかな対応が求められている。A 病棟では、口腔粘膜炎Grade 3(以下Grade 3)を来し入院する患者を年1 ~ 2例経験した。Grade 3 では飲水も食事も困難な状況を認めたが、口腔ケアがタイムリーに提供できずに患者が苦痛を抱え続ける状況が認められた。そこで、がん看護専門看護師(以下OCNS)がモデルケースをもとに資料を作成し病棟看護師を対象に研修会や実践指導を行い、一定の効果やコアナースの育成に至ったため報告する。【方法】対象は化学療法を担当する病棟看護師9 名。直近に対応したモデルケースによる資料をOCNS が作成。口腔ケアの根拠として、口腔粘膜炎の発現機序や臨床病期、Grade 3 評価と対応、口腔用外用剤の根拠、栄養補助食品の効果などを実際のケア内容に対応し記載。研修会は2021 年3 月に行い、研修終了後に参加者から個別インタビューで意見を聞いた。また、口腔粘膜炎評価はNCI-CTCAE Ver.3 を用い、口腔用外用剤の使用方法などを看護師へ指導し、ケアプランを患者と看護師双方で共有しOCNS がロールモデルを示した。【結果】2021 年1 月~ 12月までのA 病棟の化学療法施行患者数は127 名でGrade 3は1 例であった。研修会参加者は7 名で看護師経験年数3 ~27 年であった。研修会参加者からは、根拠とつながったとの反応や、OCNS がロールモデルを示したことで自信がついたとの言葉が5 名で聞かれた。口腔ケアでは、口腔ケア用品や口腔用外用剤の根拠を基に説明や指導が行え、資料をもとに伝達講習が行えるコアナースの育成につながった。コアナースは6 か月後に伝達講習を行い、定期的に開催したい意向であった。患者においては、入院当初から生理食塩水などによる含嗽が行え、セルフケアが可能であった。【考察】OCNSが資料をもとに研修会や実践指導を行い、少ない症例数に対してもタイムリーな対応が可能となった。看護師が口腔ケアの根拠と連動しケア内容への理解を深め、ロールモデルによる個々の看護師への対応や日々のケアの承認により自信をつけたものと推察する。今後は、研修会を定期的に開催すると共に、外来との連携や研修会を行うことが課題である。
【目的】口腔粘膜炎は殺細胞性抗癌剤の代表的副作用であり、特に消化器がんにおいてはフッ化ピリミジン系製剤を含むレジメンにより重篤化し、治療延期を余儀なくされることもあり、速やかな対応が求められている。A 病棟では、口腔粘膜炎Grade 3(以下Grade 3)を来し入院する患者を年1 ~ 2例経験した。Grade 3 では飲水も食事も困難な状況を認めたが、口腔ケアがタイムリーに提供できずに患者が苦痛を抱え続ける状況が認められた。そこで、がん看護専門看護師(以下OCNS)がモデルケースをもとに資料を作成し病棟看護師を対象に研修会や実践指導を行い、一定の効果やコアナースの育成に至ったため報告する。【方法】対象は化学療法を担当する病棟看護師9 名。直近に対応したモデルケースによる資料をOCNS が作成。口腔ケアの根拠として、口腔粘膜炎の発現機序や臨床病期、Grade 3 評価と対応、口腔用外用剤の根拠、栄養補助食品の効果などを実際のケア内容に対応し記載。研修会は2021 年3 月に行い、研修終了後に参加者から個別インタビューで意見を聞いた。また、口腔粘膜炎評価はNCI-CTCAE Ver.3 を用い、口腔用外用剤の使用方法などを看護師へ指導し、ケアプランを患者と看護師双方で共有しOCNS がロールモデルを示した。【結果】2021 年1 月~ 12月までのA 病棟の化学療法施行患者数は127 名でGrade 3は1 例であった。研修会参加者は7 名で看護師経験年数3 ~27 年であった。研修会参加者からは、根拠とつながったとの反応や、OCNS がロールモデルを示したことで自信がついたとの言葉が5 名で聞かれた。口腔ケアでは、口腔ケア用品や口腔用外用剤の根拠を基に説明や指導が行え、資料をもとに伝達講習が行えるコアナースの育成につながった。コアナースは6 か月後に伝達講習を行い、定期的に開催したい意向であった。患者においては、入院当初から生理食塩水などによる含嗽が行え、セルフケアが可能であった。【考察】OCNSが資料をもとに研修会や実践指導を行い、少ない症例数に対してもタイムリーな対応が可能となった。看護師が口腔ケアの根拠と連動しケア内容への理解を深め、ロールモデルによる個々の看護師への対応や日々のケアの承認により自信をつけたものと推察する。今後は、研修会を定期的に開催すると共に、外来との連携や研修会を行うことが課題である。