第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演9群 在宅療養移行支援①

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場3 (304)

座長:植田 みゆき

[口演M-9-2] 在宅酸素療法導入患者の退院指導後の実態調査

-訪問看護師へのアンケート調査から退院指導に繋げる-

佐藤 仲子, 上林 さとみ, 山本 麻衣 (鶴岡市立荘内病院)

Keywords:在宅酸素療法、訪問看護、患者指導

【抄録】
【目的】A 病院では在宅酸素療法(以下HOT)導入の際、院内クリティカルパス(以下パス)に基づき指導を行っている。訪問看護師に対してHOT 導入後の患者・家族の疑問や不安を調査することで、退院指導の課題を明らかにし充実した指導内容を見出す。【方法】B 病棟でHOT を導入し退院となった患者が利用している3 カ所の訪問看護ステーション看護師27 名を対象に、HOT 導入パスの指導項目に添った独自のアンケートを作成し、患者・家族からの疑問・不安また、訪問看護師が気になった事について自由記載欄を設け調査した。結果は単純集計し自由記載欄についてはカテゴリー毎に分類し考察を行った。倫理的配慮は所属施設の倫理委員会から承認を得た。【結果】アンケート回答率は100%であり、HOT導入患者に関わったのは25 名だった。そのうち56%が患者や家族から疑問や不安に関する言動があったと回答した。患者から15 件、家族から23 件と、家族からの疑問や不安の方が多かった。最も多かったのは酸素カニューレについてで患者から6 件、家族から8 件あり、「カニューレはどのくらいの頻度で交換したらよいのか」「口や鼻の粘膜が乾燥しやすい」「せん妄や認知症で外してしまう」であった。次いで、酸素濃縮器について家族から5 件あり、メンテナンスや操作方法などについてだった。入浴について5 件、外出・災害時についてそれぞれ4 件、体調管理について3 件、酸素セーバーについて2 件、食事について1 件の順であった。【考察】HOT 導入退院後の疑問や不安に関する言動から、在宅療養を行う上で患者よりも家族からの疑問や不安が多いことが明らかとなった。患者へはその都度指導を行えるが家族への指導回数は限られており十分な理解を得ることは難しかったと考えられるため、家族の理解度がわかるチェックリストを作成し指導を行う必要がある。自宅訪問を行い調査した文献では、実際の生活環境を見ることで病院での指導に対する看護師と患者の認識の差が明らかになっている。限られた指導回数の中で患者・家族の生活背景を把握することが重要となるため、退院前に患者の自宅に訪問することや退院後に電話での状況の聞き取りを行うことが有効と考えられる。患者・家族が安心して療養出来るよう、訪問看護師と情報共有し在宅療養への支援が継続される退院指導に繋げていく。