第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演1群 ワークエンゲージメントを高める

2023年9月29日(金) 10:15 〜 11:15 口演会場1 第6会場 (1008)

座長:中 麻里子

[口演O-1-1] 分娩取扱中止となった病院で継続勤務する助産師を支える要因

國本 万智子1, 古都 昌子2 (1.鳥取市立病院, 2.鳥取看護大学)

キーワード:分娩取扱中止、継続勤務、助産師、テーマティックアナリシス法

【目的】近年、出産数の減少や産科医の減少による病院の集約化、重点化により、産科病院や産科診療所は診療の休止や廃止に追い込まれている。本研究の目的は、分娩取扱中止となった病院で継続勤務している助産師が、助産師として活動を継続するためにどのような要因が支えとなっているかを明らかにすることである。支えとなる要因が明らかになることで、アイデンティの危機にさらされる可能性がある助産師に、必要な支援や継続教育プログラム内容を検討する諸資料となりえると考えた。【方法】分娩取扱中止となった病院をホームページや研究者の助産師仲間のネットワークから検出し、研究に同意が得られた助産師6 名に半構造化面接法によるインタビューを行った。データ分析はテーマティックアナリシス法を用いて行い、対象助産師ひとりひとりの個別テーマを抽出した。さらに個別テーマの類似性を集約し、全体テーマを生成した。新型コロナウィルス感染予防対策として、インタビューはオンラインで行った。倫理的配慮として、書面により同意を得て連絡先を確認したのち、研究者からアクセスし、電話あるいはメールで説明を行った。個人情報保護のため、個人や施設を特定できる名称は、逐語録作成時に記号化し、匿名性を遵守した。【結果】対象助産師は、経験年数19年~ 36 年、インタビュー時間は52 分~ 72 分であった。1名あたり25 ~ 51 の旧コード、6 ~ 8 のコード、4 ~ 5 の個別テーマを生成した。対象助産師から抽出した26 の個別テーマを集約し、分娩取扱中止となった病院で継続勤務する助産師の支えとなる要因として、『今後の助産師活動に対する前向きな志向』『考えを切り替え取り組む周産期以外の助産師活動』『今までの経験で培われた助産観に誘発され行う支援』『助産師活動に理解があり協力しあえる仲間とのつながり』『家族の状況から考える安定した雇用と補償』『産婦人科を存続させる病院の役割と方針』の6 つの全体テーマを生成した。【考察】分娩取扱中止となった病院で継続勤務する助産師は、今まで行ってきた助産師活動で得た経験や、新たに行う周産期以外の活動による今後の希望が支えとなっていることが明らかになった。しかし、分娩取扱中止となった事実に、ショックや悲しい気持ちを抱く現状もあるため、継続教育の充実や、新たな助産師活動への提案および助産師個々へのサポートの必要性が示唆された。